§22 染井吉野が鳴く頃に
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…!!?」
頭を押さえてのた打ち回る黎斗の姿がそこにはあった。頭が割れるなんて生易しいレベルではない。頭が粉砕してしまいそうだ。
「マ……ー!? まさぁかあああああ敵ぃー襲ですかぁ!?」
エルの声が攻撃だと言ってやりたいがそんな余力すら残らない。ごろごろのたうち回る黎斗はやむを得ず念話を切断する。
「し、死ぬかと思った……」
こんな展開になるなんて。呪符は至急要改造である。こんなの戦闘中に使ったら命とり以外の何物でもない。まだ頭ががんがんする。どうやら海外に行ったときのように須佐之男命の助力を借りないとマトモな呪符作成は出来ないようだ。独自作成にはまだ技量不足らしい。
「情報が欲しいんだけどなぁ。通信があんなんじゃあエルはあてにできない。こりゃこっそり戻るしかない、か」
仮に戦闘になったとしても問題ない。被害はワイヤーが多少汚れてはいるものの、その程度だ。破滅の呪鎖も破壊光線もしばらく使えないし時詠なども今日は使えないが、使うような事態にはならないだろう。困ったら護堂に全部押し付ければ問題ない。
「あ、いかんいかん。守護展開しないと。って、そういやもう展開してた…… ま、これで変な人にはバレないでしょう。……展開しながら戦えるようにならないとなぁ」
流浪の守護を常時展開出来るように勘を取り戻すのが急務だ。うっかり忘れて身バレしたら笑えない。とりあえず、ディオニュソスの力でエリカと裕理は問題ない。ナポリまで行ったときに「黎斗が神殺しであると考えないように」無意識レベルで思考操作しているのだから。だが他の術者が居ないとも考えにくい。だから守護の展開は重要だ。我が前に邪悪無しの長時間の持続は正直まだしんどいし。”邪眼”に戻すことにより負荷は格段に下がる。そんなことをしているうちに、頬を流れる血は止まっていた。
「権能使うにしてもバレない邪眼程度かな。あとは護堂に働いてもらいますか」
護堂が聞いたらすごい速度で拒否反応を示しそうなセリフと共に、黎斗は再び現世へ飛ぶ。どうせもう解決済みなのだろう、という予想をしながら。
「……何アレ?」
黎斗が真っ先に目にしたのは、目を疑うような光景。
「怪獣大決戦? いや、巨人決戦か。ウルトラマンはやくきてー……」
千鳥ヶ淵近辺で暴れているのは謎の巨人。こんなとこでこんなことして、情報操作は大丈夫なのだろうか。正直、上司にこの状況の隠蔽工作を命じられたらパワハラで訴えても良いと思う。そんな有様。
「……甘粕さん過労死しなきゃいいけど。これ洒落にならんでしょ」
「マスター、ご無事で!!」
呆然と眼前の光景に
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