§21 そして全ては水の泡
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独力でこの怪物を撃破できる気がしなかった。神が屈する状況など前代未聞だろうその状況にも黎斗は全く動じない。
「冥土の土産に教えてあげる。大半の不思議攻撃には効果がないけど物理攻撃と一部の不思議攻撃に対する究極のカウンター。これがシャマシュの権能、ヤマアラシのジレンマ。ネーミングセンスは突っ込まないでね。目には目を、歯には歯を、の言葉の通り術者に与えたダメージの全てを与えた者も受けるのさ。僕は今光線で消し炭になった。だから大国主も消し炭になった。OK?」
再生系能力が無かったら相討ちになっちゃってたけどね、とロンギヌスを左肩に担いで気楽に言う。そもそも神々の呪術耐性は規格外だ。神々相手だとこの権能を用いても自身の負った傷と同等の傷を相手に与えることはない。せいぜい八割から七割程度。一瞬で消し炭になった大国主を考えるに黎斗が直撃した分はよっぽどオーバーキルだったのだろう。
そんなことを考える黎斗の右手には一筋の剣。光り輝くそれは放心状態にある迦具土をして危険なものだと予想がつく。護堂の切り札”戦士”の力を今度は借りたのだ。アカシックから強引に知識を引き出す荒業つきで。頭の中に膨大な情報が流れてくるので正直取捨選択が上手くできる自信がない。
「カグヅチ……神武紀に「火の名を厳香来雷と為す」と記された焔の神。落雷による火災が多かった古代では火神と雷神の連想は自然なこと。お前の死骸……お前がここにいるのに死骸とか言うのも変な話だけどさ。とにかくそっから雷神が出たという言い伝えもある。それが、お前が稲妻を放てる理由だったのね ……火と雷の発生する因果関係が逆な気もするけどさ。」
そんな不安を隠しつつ黎斗は世間話でもするかのように、だがその瞳に油断はない。
「ホムスビ、ヒノカガビコ……様々な名前を持つお前の正体は大地の女神を焼き殺した邪悪なる神。末っ子の母親殺し。鎮火祭祝詞にも「心悪しき子を生み置きて来ぬと宣りたまひて、返りまして更に生み給ふ子、水の神・匏・川菜・埴山姫、四種の物を生み給ひて、この心悪しき子の心荒びるは、水の神・匏・川菜・埴山姫を持ちて鎮め奉れ」とある。燃えやすい住居に住んでいた古代の人々にとって火の神は悪しき神の代表ともいえる存在だ」
鎮火祭祝詞には火結神、とあり日本書紀にもだいたい同様の文献が見られる。初期から邪神扱いされるわ母ちゃん殺すハメになるわ父ちゃんに殺されるわ可哀想に、などと同情するには黎斗の迦具土に対するあまりにも好感度が不足していた。容赦せずに続行する。
「さて、天と地を分離した焔。男と女を別離させた神。火を契機とし
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