§21 そして全ては水の泡
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うちに決着をつける。黎斗の意思に応えるかのように空間が軋み始める。黎斗の力を封じている結界は容易く破壊され、視界内に解呪の術者がいる分解呪も威力が激減する。力を抑えるはずの結界も”邪眼”の情報で作成されたからか、我が前に邪悪無しの前では塵屑同然だった。
「っとな」
「ぐぁ!!」
「ぎゃん!!」
二柱の神から距離をとってさりげなく大地に触れる。次いで連鎖する悲鳴の数。大地を伝い少名毘古那神の権能、”でいだらぼっち”が木々に力を与えてくれる。樹木に協力を要請、異常活性した木々による触手プレイであっけなく術者の群れは壊滅する。圧殺されていく運命を逃れた者は、黎斗が放つ雷にその身を消し炭にされていく。草薙護堂”軍神”の力の一端を友愛の神の権能により一時拝借したのだ。
「山羊つえー……」
単体出力こそ本家に及ばないものの、周囲の植物の意思を束ねることで生み出される破壊力は恐ろしいことになっている。護堂のものとは比較にならないほどだ。一撃で砂が融解する威力に黎斗も軽く引いてしまう。
「……そうだったな。貴様はスクナビコナの仇、ここからが本番だ」
親友の仇と明確に意識したからか。大国主の気配が更に狂気を帯びていく。暴風が吹き荒れる。同時に飛んでくる光線。光速の一撃に対し雷撃をぶつけて相殺を試みる。
「っはー……」
まだ迦具土がいる。ここで時間をとられるわけにはいかない。こんな拮抗状態でヤマの権能を破壊しに来られたらたまらない。一瞬で塵になってしまう。
「目には目を。歯には歯を」
結界はもう無い。力の制限以外に太陽神の力を封じる効果も含まれているらしい結界だったが、壊してしまえばこっちのものだ。
「面白いものを見せてやるよ」
その言葉と共に、黎斗は雷撃を中止する。拮抗していた一筋の光線は、黎斗を消し炭に周囲を抉って吹き飛ばす。黎斗が笑みを浮かべていたことを、見ることが出来た者は当然いない。
「……?」
凄まじい破壊力。だから大国主は、自分の身体が消し炭になることが理解できなかった。黎斗が光に包まれるのと同時に、大国主も消滅する。
「さてと、残るは迦具土だけだ」
「何!?」
迦具土は動揺するがそれはしょうがない。光線を放ったはずの大国主が灰となって、灰となったはずの黎斗が現れたのだから。超再生と呼ぶに相応しく、黎斗は復活を遂げていた。灰が集まり黎斗の身体を修復していく。もっとも神力ももう半分程度しか残っていないが、迦具土のみが相手なら十分すぎる。その光景に思わず迦具土は、膝をつく。不死を分離させても、他の神格を分離させても
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