§21 そして全ては水の泡
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任務が束縛であり積極的こちらへ来るから。被弾率が一番高いと予想したのだろう。破壊光線をただ避ければ良い(効果範囲が広大なので避けきれるとは思えないが)大国主や迦具土と違い彼は束縛を最優先する為回避を念頭に置かない行動パターンと推測する。もしくは二者が攻撃で彼は防御なのかもしれない。
「だけど、もう同じ手なんか使えない。使わせない。こっから僕のターンだよ、ってうわぉ!?」
自信満々に言い切ろうとした黎斗に向けて雷撃が飛んでくる。辛くも回避に成功するが動揺は隠せない。雷神、と名のつく神はここでは八雷神くらいの筈だ。
「何だよお前!! カグヅチ、お前火の神だろ!! なんで雷撃使ってくるんだよ! おかしいだろ!! 雷神に謝れ!!」
黎斗が抗議しても迦具土はそれにとりあう気配がない。当然だが。
「……よろしい、ならば戦争だ、ってね。そっちがそうならこっちもいくぞ」
権能破壊疑惑の焔に注意するため、再び砂塵を巻き起こす。
「小賢しいわ!!」
気合一閃。同一視されることもあるシヴァ神の力だろうか。暴風が吹き荒れ、時間稼ぎの間もなく土砂は吹き飛ばされていく。
「我、主の御心に従わせし者」
右目も閉じる。破壊光線の代償で左目が使えない今これは非常に危険な方法だ。視界が漆黒に染まる中、思考するのは日々の鍛練。発現させるのは言霊によって一時的にだが全盛期の力を取り戻せるまでに復帰したサリエルの権能。発動までは視界が皆無になってしまうため、精神を統一する。周囲の気配を読み取り、空気の揺らぎで飛んでくる”何か”を察知、回避する。
「!?」
目を閉じている相手に避けられるとは思わなかったのだろう。おそらく迦具土であろう存在が息をのみ、大国主がこちらへ駆けてくる。だが、もう遅い。
「「月よ、魔女よ、理よ」」
「「「月に狂え、地に堕ちよ」」」
「「「「頭を垂らせ、命を捧げ。今宵は月の踊る夜。厄災の下、魂灌ぐ夜!」」」」
言葉を紡ぐ度に、どういう原理なのか、残響が辺りに響き声がいたる所から聞こえてくる。再び右目を開いたとき、暴風は微風へ、劫火は火の粉へ変貌する。直撃してもこの程度なんら支障は無い。邪眼???十全に力を発揮できている”|我が前に邪悪無し(オンリー・ザ・シャイニング)”の前ではこの程度の嵐も、焔も、黎斗に近づくことなど出来はしない。自らが望む力以外の全てを無効にしてしまうこの瞳の効果範囲は、視界内全域。視界内に収めてさえいれば、対象が目視できるようなものでなくとも対象にとれる。
「……っ」
目元を流れるのは血の涙。全力解放出来る時間は長くは、無い。痛みが酷くならない
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