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魔王の友を持つ魔王
§20 激突
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世だぞ。この程度もわからぬとはこの羅刹の君は脳味噌も無いらしいな」

 大木の対極から、声。横一文字に切られて、黎斗の胴体が真っ二つになる。

「……望めば行けるんだっけか。すっかり忘れてたわ。って、じゃあスサノ」

「無駄だ。大規模な結界を展開している。いかに神殺しとて、短期間で破ることは叶わない。御老公の呪力を借りることにより発現させる 貴様ら専用(・・・・・)のとっておきだ、そう簡単に破られはせぬぞ。光栄に思え」

「ってまてや。とっておき(・・・・・)の結界? スサノオに気づかれる前に? この状況作り出したのはお前らか」

「清秋院も存外に役に立つ。まさか小娘を動かすだけでこうも簡単に大物が連れるとはな。上手い具合に日本に生まれた神殺しとも接触できておるしの」

「清秋院の本家をお前らが唆したのか? 媛さんや坊さんの話聞いた限りだと随分我の強そうな人だからなぁ、って……ん?」

 日本には(公式には)カンピオーネがいなかった。護堂が記録上初めて。その護堂の周囲はエリカ、祐理、リリアナと美少女が勢ぞろい。三人の内過半数は外国の魔術結社。のこる万理谷も格としては清秋院より下に位置する。そして孫娘(恵那)は十分美少女である。清秋院の家にもし、ゴーイングマイウェイ(仮)な最高権力者(ばっちゃん)が存在したとするならば、この状況でどうでるか。

「……スサノオ、押し切られたか? 恵那も護堂の嫁に、って清秋院家当主並びに複数神様やら大魔術師やら精霊やらから一度に言われたら、押し切られるか。スサノオはNoと言える日本人(にほんじん)……もとい日本神(にほんじん)っぽいけど数の暴力相手じゃなぁ。オマケに庇うにしても強い理由が無い。僕が人間(・・)である以上僕のトコに今までどおり、なんて案は無いも同然だしな。そうなれば日本嫁二名vs外国嫁二名のドロドロ合戦も構図がわかりやすくなる。あの三人は拮抗しているから、恵那が神懸かりでもしないかぎり戦線は膠着。でも恵那が外国嫁どっちかとガチンコ始めたら護堂が絶対邪魔をする。神懸かり使うのも護堂が阻止出来る……かなぁ? ま、護堂の相手が出来るのは神様(アンタら)くらいのものだろうから……そういやスサノオが今護堂と接触してるんだっけか。これでえーと……」

 言ってて思った。思考がズレている。現状がどうして起こったかなのに何故護堂の嫁論評を繰り広げにゃならんのだろう。もし、相手がこの現状を黎斗(じぶん)の殺害に用いるとしたら。媛が言っていた事を思い出す。公開用に書いた権能解説書没案が盗まれていたことを。これを相手が持っていたならば……?

「……さてはお前らこうなること予想済みだったな? 護堂の気配が消失すれば僕が出てこざるをえない。スサノオ達は護堂にかかりっきりで僕
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