§19 急転直下
[3/5]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ないか。
「ったく、スサノオは何考えてんだか」
「おそらく日本に初めて現れたカン」
「まって、なんで護堂が出てくるんですか? だったらエリカさんと恵那を拉致する必要なくないですか?」
護堂を連れて行けばいいじゃないか、と続ける黎斗に対し、甘粕は微妙な表情をする。
「草薙さんがまず行方不明になりまして、次いでお二人という流れなんですが……もしやご存じない?」
「なん……だと……」
あらあら、などと肩を竦める甘粕を無視して取り出すは携帯電話。須佐之男命に電話を掛けようと試みる。裕理を嫁入りさせて護堂に首輪をつける、というのが黎斗の予想だったのだが何かがおかしい。
「電話に出んわ……」
「確かに残暑は厳しいですがオヤジギャグは間に合ってますよ」
思わず零れた呟きを、冷ややかな目で見つめる甘粕。本来この状況は有り得ない。これは携帯電話を用いて念話もどきを行使しているに過ぎないのだから。ましてや相手は須佐之男命。”よほどの”状態でもない限り、音信不通といった事態になるはずがない。それに彼はここまで派手に動いておいて無視を決め込むような性格ではない。
「魔力妨害してるのは、誰?」
軽口を返してきた甘粕の顔が一瞬で変わる。
「妨害工作ですか? ……我々にはわかりかねますが。お偉い様方に通じている黎斗さんの方が詳しいのでは?」
どうも事態が妙な方向へ動いている気がする。何故恵那とエリカが争っているのだろう?
「ってかまずスサノオが果たしてここまでするか……?」
須佐之男命がこんなに大っぴらに動くとは、考えにくい。護堂の存在を彼から聞いたのは結構前だ。行動を起こすにしては遅すぎる。彼が本気なら夏休みの前に仕掛けるはず。
「ヤツは本気じゃない? でもそうだとしたらこの遊びには手が込みすぎてるよなぁ。今スサノオと連絡がつかないことも説明できない。僕をからかってる?」
頭をガリガリかきながら悩む。本当、頭脳労働は苦手だ。脳筋万歳。敵が明確ならそいつを潰して終わりだが、今回はそう優しくはなさそうだ。
「……黎斗さん、少しよろしいですか?」
振り向いてみれば、今まで傍観一方だった甘粕が動く。何か名案があるのだろうか。
「今、祐理さんをお呼びしました。もうじき到着します。リリアナさんもいらっしゃるので、お力をお貸し願えないでしょうか?」
荒事になっても黎斗さんとリリアナさんが居ればなんとかなりそうですし、と語る表情は忍者の顔。
「んー……」
アッサリ承諾すると思っていたのだろう、甘粕の顔が不審気に歪む。といってもほんの少しだ
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ