第百五十一話 アクアの決別
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こうした時にはユウナは弱い。やはり胆力に欠けるのだ。
「それにはっきり断言していい場合じゃないよ!ここは!」
「おい、ユウナさんよ!」
しかしここで金竜の声がした。
「金竜大尉」
「俺が今行く!それまで持ち堪えてくれよ!」
「了解。何か助かったね」
「おう、クサナギを沈められたら元も子もないからな」
モニターの向こうで不敵に笑ってきた。
「もうすぐだ。いいな」
「わかったよ。じゃあ頼むね」
「おうよ。任せておけ」
「しかし一瞬誰かと思ったよ」
「どういうことだ?それは」
「いや、声がね」
ユウナはここで金竜の声について述べる。
「ヒューゴ君のものに似ていたから」
「そういえば似てるな」
金竜本人もそれに頷く。
「否定はしないさ」
「そうだね。何はともあれ頼むよ」
「おうよ」
「後でラビアンローズを御馳走するからね」
「甘いものか」
「駄目かい?」
しかし金竜はその言葉に不敵に笑ってきた。
「いや、いいな」
「よかった。じゃあそういうことでね」
「ああ」
クサナギは何とか助かった。マウアーは金竜に阻まれてクサナギを撃沈することは適わなかったのだ。
「ここは退いた方がいいかしら」
「そうだね」
ここでライラが彼女に通信を入れてきた。
「ライラ少佐」
「ここでの戦いはあらかたケリがついたよ」
「決着が?」
「ああ、あたし達の負けだね」
彼女は冷静な様子でそうマウアーに述べる。
「カクリコン、生きているかい?」
「何とかな」
カクリコンから返事が返ってきた。
「ヤザンはどうだい?」
「俺も生きてるぜ。ラムサスもダンケルもな」
「ジェリドは」
「あの坊やとまた戦ってるさ。元気にね」
ライラはマウアーの問いに答えた。
「とりあえずは損害は最低限ってわけさ」
「そう。それじゃあ」
「後は上がどう判断するかだけれどね」
ちらりと後ろを見る。そこにはジュピトリスがいる。
「話がわからないってわけじゃないけれどね、あの旦那は」
そこにはシロッコがいる。彼は今の戦局を冷静に眺めていた。
そのうえで判断の時を待っていた。ジャミトフ及びバスクに通信を入れる。
「閣下」
「うむ」
「どうしたのだ、シロッコ」
二人はモニター越しに話をはじめる。シロッコはモニターに映る二人を見上げて話をするのであった。
「既に防衛ラインが限界に達しております」
彼はまずはこう述べてきた。
「このままでは守りきれませんが」
「撤退するというのか」
「はい」
バスクに対して答える。
「如何でしょうか」
「今の損害は」
「二割を越えました」
損害を正直に述べる。
「このままですと三割に達するものかと」
「ふむ」
ジャミトフはその言葉を聞いてモニターの中で考える目を見せてきた。
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