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八条学園怪異譚
第十七話 舞と音楽その六

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 二人がきつねうどんを食べ終えたところで彼等のものを出してきた。それは何かというとやはりこれだった。
「たぬきそばね」
「これね」
「そう、狸といえばね」
 狸達は胸を張って二人に言う。
「これだよ」
「狐君達のきつねうどんも確かに美味しいけれどそれでもね」
「たぬきそばも美味しいよ」
「だからこっちも食べて」
「遠慮しなくていいからね」
 こう言って二人にそのたぬきそばを勧める。二人はそのたぬきそばも受け取って食べはじめる。そしてこうそれぞれ言うのだった。
「これもいいわね」
「ええ、本当にね」
 聖花はにこりとして同じ顔になっている愛実に対して頷いた。
「天かすとおそばって合うのよね」
「やっぱり食堂でも人気あるのよ」
「おそば自体が定番よね」
「そうよ。それでね」
 その定番の中でもだというのだ。
「たぬきそばは天麩羅、鴨なんばと並んでね」
「人気メニューなのね」
「丼と一緒に頼む人が多いのよ」
 愛実はその組み合わせについても話す。
「おうどんもだけれどね」
「何かお話聞いてるだけで丼も食べたくなるわね」
「それかお握りか」
 今度は日本人のソウルフードである。
「この組み合わせ人気があるから」
「組み合わせも大事よね」
「ただ。おうどんとかおそばとカレーになると」
「カレーうどんとかカレー南蛮もあるわよね」
「カレー丼もね。ただカレーとカレーになるし」
「それにカレーって他のお料理の味も殺すわよね」
「だからカレーとおうどん、おそばの組み合わせはないわ」
 そうだというのだ。
「たまに頼む人がいるけれど」
「後悔するのね」
「あまりにも味が合わなくてね」
 まさにそれが理由だった。
「次からはその組み合わせで頼まないのよ」
「やっぱり」
「親子丼とか他人丼とかね」
「そういうのが人気あるのね、おうどんとかおそばと一緒だと」
「それにカツ丼ね」
 愛実の家の自慢のメニューだ。
「人気があるのよ。じゃあ今度は」
「今度は?」
「おうどんとおそばもう一杯ずついかない?」
「そうね」
 二人はそばも食べ終えて言った。
「それじゃあまたね」
「頼んでそれからは」
「お酒あるよ」
「お菓子もね」 
 狐狸達はそうしたものも出してきた。だが二人はお菓子の中の饅頭を見て目を顰めさせて彼等に対して尋ねた。
「お饅頭だけれど」
「まさかね」
「うちの学園乗馬部もあるし」
「ここ農業のところだし」
「このお饅頭実はあれ?」
「お馬さんの」
「あっ、違うから」
 狐狸達は二人のその怪訝な言葉は笑って否定した。
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