§16.5 夏休みの終わりに
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「あっぶねぇー。……しかし恵那で見切れるんだったら神相手は精度不足かな。要練習、っと」
「お取込み中すいませんがマスター、この場どうするんです?」
「え?」
なにが?と首を傾げれば、エルが恵那を尻尾で指した。
「結界は解除すれば済みますし問題ないでしょう。でも恵那さんどうやって連れて帰られるのですか? 気を失ってますよ。傷ついた美少女を背負って深夜に歩く男。不審者ですよねどう考えても」
「……」
恵那をみやるとなるほど、確かに気を失って眠っている。服がボロボロで目のやり場に困る状態。服対素肌が3:7と地球の陸海比、などとくだらないことを考え現実逃避している暇はなさそうだ。そんなあられもない姿で巫女様は倒れていらっしゃるわけで。これは確かに背負って歩けば職質は免れないだろう。下手したら強姦魔と間違われかねない。
「結界張って正解だったな。明日から外歩けなくなるトコだった……」
「最後の神憑りで一気に服が消滅しましたね」
際どい所で服が身体を守っている。本当にギリギリのところで。もっとも、仮に全裸だったとしても全身真っ赤でそこまで詳細を見ることは出来ないだろう、などと考えたところで頭を振って雑念を飛ばす。
「ねー。試合なのにわざわざ服を破ってまで勝ちに来なくても……」
もしやこの子は恥じらいというものがないのだろうか。もしそうならば今度瑠璃の媛に躾けてもらわねばなるまい。そんな感想を抱きつつ黎斗は恵那を背負って歩く。
「でも恵那さん、最近好戦的ですよね? 最近は模擬戦の頻度前とは大違いですよ」
「だよね。それは気になった。別に僕を殴りたい、というような理由で挑んできてるわけでもないし。強くなりたい理由でもあるのかな? こっそり式神作成をしてるのも気になるんだけど。しかも種類が危害を与える類の物騒な代物だし。それにそんな種類だからっていっても隠さないで堂々とやればいいのにさ。なーんか、いやな予感がする」
「マスター、明日から北海道でしたよね。私だけでも残りましょうか? 例の呪符使えば遠隔通信位私でも可能になりますし」
「うーん、頼める? ヤバかったらすぐ戻るから。昼間なら護堂の”風”でエルのとこに、夜はアーリマンの邪気転移で家まで戻るってことで」
「了解です」
これで安心だ。エルが入れば異変が発生した場合でもなんとかなる。安心した黎斗は、北海道へと思いを馳せる。
「御老公、やはりそれはおやめになられた方が」
「今しかねぇだろう。幸い黎斗は外出だ。鬼の居ぬ間になんとやら、ってな」
「左様。媛よ、新たな羅刹の君を試すのは今においてありませぬぞ」
美貌の顔を曇らせて、瑠璃の媛はため息を吐く。須佐之男命
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