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魔王の友を持つ魔王
§16.5 夏休みの終わりに
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一スサノオでもなけりゃ相手にならないし。今度またなんか酒持ってかなきゃな」

「だーかーらー、それが既におかしいんだってばぁ。……なんでおじいちゃま相手にそこまで出来るかな」

「ごちそうさまー。とりあえず学校のグラウンド行ってくるわ。ワイヤー(こいつ)の使い方思い出さなきゃ」

 神を相手にする前に使い方をある程度思い出しておかねば。いかに黎斗とて手も足も出せずに嬲られる趣味を持っていない。数百年ぶりだから念入りに練習だ。ワイヤーは不審物ではないし、幽世より現世のほうが障害物などの関係で操作は難しい。ならば難しいほうで特訓しかないだろう。

「あ、待ってれーとさん。恵那も行くよ」

「え?」

「本当にそれが強いのかいまいち恵那には信じられないし。それにれーとさんも相手が居たほうがいいでしょ? ということで一手御指南お願いしまーす」

 あっという間に天叢雲劍を持ち出してくる恵那。その身のこなし、まさに疾きこと風の如く。

「まぁいいか。槍無し双剣無しワイヤーのみ、でいけば大丈夫かな。一本取れたら恵那の勝ちね」

「れーとさん余裕だねぇ。恵那も負けないよ」

 そういう巫女の瞳は派手に燃え盛る炎を映しているようだった。ハンデをこってりつけられた、と思っているのだろう。この場合相手を舐めているのは黎斗か恵那か。

「巫女様のお手並み拝見といきますかね」

 ニヤリと笑う黎斗に、エルはそっと肩をすくめた。





「はぁ……はぁ……何、コレ。こんなのってありなの……?」

 一時間後、満身創痍の恵那と無傷の黎斗がグラウンドにいた。

「降参?」

「っ、まだまだぁ!!」

 三日月を背にして笑う黎斗へ、突撃。直感で動いた恵那だが、このルートならば木々が邪魔をしてワイヤーも上手く扱えないであろうことを無意識に判断していたのだろう。

「ははっ、甘い甘い。別に森の中だろうが深海だろうがあんま関係ないんだよねぇ」

 実際に蚕の繭で海を裂いたり城を切断したりしたことがある。いやー、あの時は若かった。戦争時なんちゃらブルク城とかいう城を繭で切断した時は、味方からもドン引きされたものだ。

「嘘ぉ!?」

 黎斗まであと数m。そこでワイヤーに全身を雁字搦めに縛られた彼女はサッカーゴールへ投げ飛ばされる。ワイヤーで投げ飛ばすのだから器用なものだ。

「ええー…… れーとさん一体どうやってるの?」

 ゴールに絡まった恵那がずるずるとネットから脱出を果たす。天叢雲劍などもはや泥まみれだ。神々しさなどとうに消え失せ、神器と一見しただけでは見抜けないだろう。

「ワイヤーに呪力を通して自在に動くようにしてるの。操作は慣れかな。んで、あとは注ぐ呪力を調節しながら指先の動き
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