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魔王の友を持つ魔王
§16.5 夏休みの終わりに
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ませんよ。神力も、呪力もすっからかんなのに……」

 エルが呆れているが華麗にスルー。白骨化している右腕にロンギヌスを掴み歩き出す。神経が無いから魔力で強引に動かす。さっきので二十三連敗。

「さて、もういっちょ行きますか」

 気合を入れて立ち上がり、黎斗は須佐之男命の元へ向かう。ボロ負けは避けられないだろうけれど、もう少しで一撃を叩き込める気がした。





「……それ、絶対おかしいから。神殺しの王様相手に勝てなかったからおじいちゃまと鍛錬って、れーとさん何考えてるの? いくられーとさんが強くても勝てるわけないじゃん」

 変な物を見る恵那の視線もやっぱり流し、夕食を一心不乱に食べ続ける黎斗。動きすぎたのでお腹がすいた。このカボチャの煮物、甘くてとてもおいしい。今度かぼちゃを育ててみようか。

「恵那さん、言うだけ無駄です。言ってわかるようなら数回ボロクソになったところで悟りますから」

「だよねぇ。でもおじいちゃまと戦える、ってか戦おうとするのはすごいよやっぱり。それが数分で惨敗だったとしても」

「さっきからボロクソだの惨敗だのひっどい言い方だね…… 反論できないけどさ」

 我が家の女性陣は今日も厳しい。スサノオにぼこられているのは事実だが、もうちょっと言い方があるのではないだろうか? 流石に悲しくなってくる。

「大丈夫。だんだん身体が慣れてきたのがわかる。次は一撃入れてみせるよ」

「まだやるんですか……」

 結局今日は一撃入れる寸前に失神してしまった。まぁ一撃叩き込める寸前までいけただけでも上出来だ。これなら全盛期に戻る日も近いかもしれない。

「おじいちゃますっごく強いよ? こんだけやられればもうわかってると思うけれど」

「次はいける。媛さん謹製の”とっておき”も完成したし」

 背後の小物袋を見やる。中身は超極細のワイヤー。全長数十mはあるだろう。黎斗の得物その三だ。双剣は手ごろなものが見つからないのでパス。瑠璃の媛に無理を言って準備してもらった品物だ。これの性能に媛や黒衣の僧は疑問を感じているようだが、須佐之男命だけは笑っていた。そんな代物に対し恵那は前者の感想も持ったらしい。

「ソレ使えるの? 恵那にはよくわからないんだけど」

「糸使うの随分久方ぶりですね」

「まーね。コイツは結構いいよ。実戦で使う前にスサノオで最終調整しなきゃだけど。神すら殺してみせましょう、ってね」

「おじいちゃまで調整……」

 恵那が複雑な表情なのはしょうがない。なにせ日本の英雄神相手の勝負で調整すると言っているのだから。それを抜きにしても格上の相手で調整などと言っているのだから呆れないだけ上々だ。

「スサノオ様々だよ。第
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