第十七話 舞と音楽その五
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「打出の小槌もあるしね」
「金魂もいるから」
金を自然に降らすかなり凄い妖怪だ。
「だから僕達はお金には困らないしね」
「博士も錬金術使えるから」
あらゆる物質を黄金に変える技術だ。現代科学では否定されている。
「お金なんて僕達にはあまり価値ないし」
「ものを買うだけのものだからね」
「まあ人間世界と違うからね、妖怪の世界って」
「だからよね」
二人も妖怪達のそのことはわかった。そうした話からだ。
日下部は二人に顔を向けてこう言った。
「それでだが」
「はい、知りたいことはわかりました」
「そういうことなんですね」
食堂のことがわかった、そういうことだ。
「それじゃあ今は」
「どうするかですね」
「丁度夜の宴会をしているところだ」
その歌って踊って飲んで食ってのだ。
「だからだ」
「それじゃあ狐さんや狸さん達がよかったら」
「それなら」
二人はあらためて狐狸達に尋ねた。
「疑ってすぐにって図々しいけれど」
「いいかしら」
「あっ、気にしないで。事情はわかってるから」
「それなら疑われても仕方ないしね」
彼等にしても気さくに返してきた。
「それに僕達のモットーは来る者は拒まず」
「皆で仲良くだからね」
「じゃあいいの?」
「私達も」
「お酒あるよ」
「うどんやそばもね」
彼等が今も食べているそのきつねうどんやたぬきそばである。
「お菓子もあるし」
「踊りや鼓もあるよ」
「ううんと。じゃあおうどん貰えるかな」
「私も」
二人はまずはきつねうどんからだった。
「それからたぬきそばもね」
「よかったらそっちも」
「よし、じゃあね」
「はい、これ」
狐は二人にきつねうどんを差し出してきた。それを食べると。
「あっ、このだしは」
「わかる?」
「ええ、関西風ね」
愛実がそのうどんを食べてすぐに言いうどんを差し出したきつねが応える。
「それも大阪の」
「一口でわかるんだ」
「食堂にもきつねうどんがあってね」
それでだというのだ。
「定番メニューの一つだから」
「ああ、食堂だとね」
「そうでしょ。定番だからよく作るから」
「わかるんだね」
「大阪のきつねうどんはまた違うのよ」
愛実はその大阪の味を食べながら言う。
「薄口醤油でだしがね」
「昆布とかかつおで」
「そう、神戸のも同じだしでもね」
「加減が違うんだよね、色々と」
「京都のもまた違ってて」
「それに奈良でも」
「関西のおうどん、きつねうどんそれぞれの味があるのよ」
愛実はこう言う。
「それで本場大阪のきつねうどんを再現してくれたのは」
「どうかな」
「美味しいわ」
愛実はにこにことしてきつねうどんを食べ続けていた。
「これなら何杯でもいけるわ
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