GGO編
百七話 Chase
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械馬の近くに弾丸が着弾するが、やはり直撃弾は未だに無かった。
そうして、リョウが再び怒鳴る。
「行くぞ!」
「あぁ!!」
ハンヴィーの速度は既に、時速200キロを超えていた。
「3!」
キリトがM8を片手に持ちかえ、尚も真後ろから突いてくる死銃を撃ち続ける。
「2!」
腰に触れる。鋼鉄の冷たく硬い感覚がキリトの手に伝わる。
「1!」
それを引きぬいて、持ちあげる。
「撃て!!」
「ふっ!」
瞬間、キリトは車体左斜め下に向けて、DEを発砲。直後、キリトは自分が何を撃ったのか気付いた。あっという間に、それの前を自分達が通りすぎたからだ。
『タンクローリー!!?』
それは、ガードレールに運転席をぶつけたタンクローリーだった。他の車と比べると、幾分か汚れが少なく、新車っぽく見えるタンクローリーだ。
GGOにおける障害物にもFPSらしく、時折大型の機械などにはガソリンが残っている場合もある。しかしそれはランダムで、かなり稀な確率の筈だ。つまりリョウはあれが爆発する方に賭けたと言う事かと、キリトは瞬間的に思った。
しかしリョウがキリトにあのタンクローリーを撃たせた理由は、それだけでは無い。
FPSのジンクスを知っている方には分かるかもしれない。
キリトは、“FPS”で“新車”を、撃ったのだ。
ズガアァァァァァァァァァァァァン!!!!!と、内臓をかき混ぜられるような轟音と共に、タンクローリーが吹き飛んだ。空高く炎が上がり、爆風が吹き荒れる。
FPSやTPSなどのジャンルのゲームには、偶に言われる所で、こういうジンクスがあるのだ。
即ち、「新車は爆発する」
リョウは、そのジンクスに乗ったのである。
直前で気付いたらしい死銃は機械馬から飛び降りたが、爆風と爆炎はもろに持ち主を失った機械馬を襲い……一秒たたずに、哀れな鋼鉄のサラブレッドは、粉々になった。
それはとても喜ばしいのだが、実は喜ばしくないことも、この爆発には有る。
爆風が、ハンヴィーを飲み込む。
「ぬおおおぉぉっ!!!?」
直前でそれに気付いたキリトが、手すりしがみついて容姿に似合わぬ男らしい叫び声を上げる。
「うわわわわわ!?!?」
「ゎ、キャアッ!?」
女子たちは高めの悲鳴を上げ……
「yeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeeah!!!」
リョウは楽しげに歓声を上げて、車体をそのまま一回転させると、何事も無かったかのように再び正面に向けて走り出した。
リョウはかなりスッキリした顔でニヤリと笑うと、からかうように言った。
「俺と追いかけっこしてぇなら、先ずはちゃんと免許取ってきな。見た目ほど簡単じゃねぇぜ、死銃ちゃん」
ハンヴィーはまっすぐに、砂漠
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