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SAO─戦士達の物語
GGO編
百七話 Chase
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いか、やたらと予備弾倉を入れるのにミスる。

「落ち着いて!!拳銃とは違うけど、ぴったりはまるはずだから!」
「あ、あぁ」
言われて、キリトは冷静に入れる。すぐに入った。なんだったのだ……

「よし……っ!?」
とにかく、キリトは再び後ろ……つまり死銃の方へと向き直る。しかし、そこに先程までとはかなり状況の異なる風景が見えた。死銃が、先程寄りも圧倒的に近い位置に居たのだ。車の左後方。距離にして90、80メートル程度しかない……!と、死銃がおもむろに、脇に釣っていた小型のまるっぽい銃を片手で此方に向けた。P90だ。

「まずいっ!?皆伏せろ!!」
キリトが叫んだ。直後、

パパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパパ!!!!!と軽い銃声が立て続けに響き……

「うおっ!?」
「くっ……!」
「くぅ……!」
「キャアアアアッ!?」
キリト達の乗る車に向かってかなりの量の弾丸が立て続けに着弾した。
一応窓は防弾になっている筈だが、かなりの数の弾丸が窓ガラスに着弾したらしく、シノンの座る助手席の小さな窓が粉々になる。そのせいか、シノンの口から甲高い悲鳴が上がった。しかしその悲鳴に……キリトは凄まじい違和感を覚える。

『シノン……!?』
先程から、シノンが見せている死銃に対する恐怖の感情が、尋常ではないのだ。ついさっき抱きかかえた際には、ずっと体が細かく震えていた。それは今もそうだ。先程まで一緒に行動していた限りでは、そこまで恐ろしがっている様子は無かったのに……

『やっぱりさっきの事が……!?』
現実感は薄いとは言え、殺されかけたのだ。まして今、彼女は命を狙われている。このくらいの反応は当然なのかもしれない。
キリトは歯噛みすると、今度は此方の番だとばかりにM8をもって上半身を出す。そして……再び目を見開いた。

『……!』
死銃は、武装を変えていた具体的に言うなら、P90を……先程シノンを撃とうとした拳銃に、持ちかえていたのだ。

『死銃……!』
あの拳銃を打たせては不味い。そう判断し、即座にM8を死銃に向けて引き金を絞る。が、それをあざ笑うかのように、拳銃の銃口が小さなオレンジ色の光を吹き出し……致死の力を持ったその弾丸が、キュゥンッ!と高い音を立てて、シノンの座る助手席の、窓ガラスの淵を直撃した。
これに対して、驚いたように目を見開いたのはアイリだ。と言うのも……死銃の行動が明らかに一つの結論を導き出しているのが、彼女には分かったからである。

先程のP90による銃撃の時点でそうなのだが、そもそも現在死銃はこの車から見ると左後方に居るのだ。あくまでも一般論だが、多量に弾丸を撃ち込まれで窓が割れるというのなら、シノンの居る助手席よりも、アイリの乗る後部座席の方が撃ち込まれる弾丸は多い
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