常に全力勝負
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返してくれた。伝えたいことは伝わったみたいだ。
「悠人さん。そろそろ私たちも行きましょう」
「そうだね。行こうか」
先程まで僕たちを見ていた父さんと母さんは、そんな伯父さんを見ても全く気にせずに会話をしていた。二人のやり取りは見慣れているのだろう。
……なんだか伯父さんが可哀想に思えてきた。
そんな風に僕と伯父さんは半分引きずられながら、卓球場に連れていかれた。
卓球場に着くと、軽く柔軟をしてボールを打ち始めた。因みに、グリップは僕も玲音もシェークハンドだ。
僕は玲音との本気の勝負で、伯父さんは気合十分な伯母さんに付き合わされている。平和そうな父さんと母さんが羨ましいなあ。
「はっ!」
なんて羨んでいる暇もなく、玲音がボールを投げ上げた。今は試合に集中しないと。
玲音のフォアサービス……っ!? 僕のフォア側に下回転でのショートボール! しかもかなり短くて、攻めにいけない。
仕方がないのでこちらもツッツキで下回転をかけて短く返した。が、玲音は素早くフリックでバックに返してきた。このボールには反応できたので、スピードドライブでバックに打ち込んだ。
しかし息つく暇もなく、玲音は回り込んで更に厳しいコースにスマッシュを打ってきた。僕はなんとかカウンター気味のブロックでストレートに返した。
けれども玲音は追い付いて、更にクロスにスマッシュ。僕もフォアハンドで飛び付いて返したが浮いてしまい、冷静にスマッシュを決められた。
「おおーっ!」
玲音の叫び声が上がる。
先取点は玲音に取られてしまったものの、今の一連の動きでわかったことがある。それは今回玲音が全く手加減する気がないということだ。これは中々厳しい試合になりそうだが、だからといって敗けを認める気はない。僕だって敗けるのは嫌なのだ。
そこからはルールを破らなければなんでもありに近い状態で、怒濤の勢いの打ち合いになった。
下がってカットを打ち続けたり、オールスマッシュを試みたり、強烈な回転の掛かったロビングで返したりなどだ。
因みにルールは十一点先取の五ゲーム制で、もちろん僕と玲音は毎ゲームデュースになるような一進一退の攻防を続けて、試合は五ゲーム目までもつれ込んだ。
……からなのか、試合の途中から観客が現れ、五ゲーム目が始まる頃にはちょっとした人だかりができてしまった。そんなに注目してまで見るような試合じゃあない、と思うんだけどなあ。
そんなことを頭の片隅で一瞬だけ考えたが、別のことを考えながら勝てる相手ではないので、すぐに思考を切り替えた。
そして五ゲーム目は今までに増してどちらも譲らず、デュースを迎えてから十分以上打ち続けても決着がつかなかった。
この頃になると、どちらかが得点する度に観客が感嘆の
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