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メディスン・メランコリー 〜無名の丘〜
メディスン・メランコリー 〜無名の丘〜
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[9] 最初
の花、メディスンに命をくれる花。

 「えへへー!驚いた?」

 「ええ・・・・」

 「メディスンがいつ完全に妖怪化するかは分からないけど、そう遠くはないと思うわよ?」

 「じゃあ安心だわ。私も行かないとね」

 「途中まで送るよ!」

 「大丈夫、一人で行けるから。本当に、ありがとう」

 「メディスンに・・・・何か伝えておきましょうか?」

 「いいの。私の事を話して、もし他の怨霊の記憶まで蘇ることになったら悪いから」

そう言ってから少しして二人は去っていった。きっと私たちを2人きりにしてくれたんだと思う。私はメディスンと一緒にこの鈴蘭畑を眺めながら幸せな気持ちだった。メディスンは今、意識はないんだけど、私は語り始めた。おばあちゃんから初めてもらった人形があなたで、ずっとずっと一緒にいたこと。悲しいことがあった時や、辛かった時に、あなたを抱きしめていると、悲しい気持ちが少しづつ無くなっていったから私はあなたの名前をメディスン・メランコリーと名づけたこと。一緒に色々なとこへお出かけしたこと。ここで初めてスーさんと出会ったこと。メディスンが意識を持って嬉しかったこと。スーさんが笑ってくれたこと。もう2人はいないけど、私は2人のことが・・・
大好きだったこと。
ずっとずっと話せなくて、悲しかったけど、最後にメディスンの私達への言葉が聞けて、どんなに嬉しかったか。
私は今まで伝えられなかった気持ちを全部言葉に出来なかったけど、出来るだけ話をした。
そして最後に私は一言残して去った。

 「またね」

秋の神々は、もうスーさんがメディと出会うことはないと言っていたけど、私はそうは思わない。私たちの周りにあった花は、鈴蘭だったからだ。だって鈴蘭の花言葉、それは

『純潔』『純愛』『繊細』『意識しない美しさ』『幸福の訪れ』そして―――






























     …〜 妖怪と妖精 〜…








   声が聞こえる。

   誰かが私を呼んでいるような気がする。

   私が目を開くと、元人形の彼女は私に満面の笑顔で言った。



 
      「おはよう。スーさん!」
[9] 最初


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