メディスン・メランコリー 〜無名の丘〜
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しているのか分からなかった。いや、一つだけ可能性がある。もしかしたら彼女は
「もしかして、ずっと・・・・ずっと一緒にいてくれたの?」
彼女はゆっくりと頷いた。
「ごめんなさい。私、死んだことに気づかなくて。本当はずっと隣にいたんだけど、
人形であるメディスンには見えなかったみたいで。たくさん話したいことがあって・・・・」
そう、私は捨てられたわけじゃなかった。置き去りにされたわけではなかった。私は混乱した。彼女はずっと傍に居てくれたと言っている。
嘘だ。
と私の中の怨霊が断言する。だけど、どうしても否定出来なかった。私にずっと聞こえていた声が、彼女の声であると確信したから。
彼女の記憶を思い出している時も、彼女は私に対してひどいことはしなかった。
彼女と共にいた記憶は少ないので、判断出来ない。
だけど、私が彼女に抱かれているとき、私は幸せそうに見えた。
違う、人形には感情はない。
感情がないことは無い。人形にも感情は存在する。
存在しない。感情も記憶も、誰かのものだ。
違う。私は・・・・
私が怨霊と会話をしている最中だったが、彼女は私を抱きしめた。
「メディスン。ずっと話したかったの。聞いて欲しいの。スーさんは・・・・
出会った時からずっと笑わない妖精だった。
初めて見たときは、小さなお人形さんだと思った。表情もなく、ただ座っていたから。
私は、彼女とお話してる中で、彼女の目を見て気づいたの。
とても深く悲しんで、傷ついて、もう笑うことを忘れてしまった妖精さんなのかもしれないって。
スーさんは常に何かに苦しんでた。
それから私は出来るだけこの鈴蘭畑に来て、彼女の相手をしていたの。笑ってくれるように。
だけど、彼女は笑わなかった。あなたを連れて来て、彼女と喋っているうちに私の肉体は失われたの。
私は気づかなかったけど、スーさんは気づいていたみたい。
その事に責任を感じているようだったけど、だけど私は、3人でいられて幸せだった。寂しくなかった。
2人共喋ることが出来なかったから、私はあなたたちに話しかけ続けた。
それから長い長い月日が流れて、あなたは意識を持った。
あなたが初めて意識を持った時、覚えてる?スーさん、初めて私達の前で笑ったんだよ?
私はそれが嬉しくて、何度も何度もあなたに話しかけたんだけど私の姿はメディスンには見えなくて」
最初に意識が芽生えたとき、スーさんは静かに微笑んでいたことを覚えている。
その後、丘の方を指差した。それはどこかへ行こうという意思表示ではなく、隣にいる彼女を見つけさせるためだったと私は気づいた。そして彼女の記憶と混同していた私は、スーさんと会
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