第一物語・後半-日来独立編-
第十九章 無意味な会議《2》
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だが、彼方もそれに対して何もしていなかったわけではなかった。
「痛いところを突かれたものだ」
吐くように言った葉木原の言葉は、空気に触れてすぐに消えた。
それを倉澤と神崎は声に出すことを堪え、肩を震わせていた。
鋭い視線でそれを静め、
「だが、その情報には根拠と言うものが存在しない。全てがたまたま起こったことだとも考えられる。それにな、それが起こったときには崩壊が急に進行しているのだ。私達は崩壊の余波だと考えている」
「全て、てわけじゃないけど、かなりの確率で起こっているのにそれを崩壊の余波と考えるのかい?」
「ならば逆に問おう。覇王会はその呪いとやらと、崩壊の関連性についてはどう思っている? 崩壊が何と言うものなのか知っていれば、我々と同じ答えになると思うが?」
今度はこちらが問われる形となった。
これはヤバいな、と飛豊は感じた。
崩壊とは流魔の飽和状態が進み、生物に害をなす高濃度流魔が地を侵食していくことだ。何故増えているのかは、まだ解明されていない。そして崩壊はこの創生区域にも進んでおり、そのまま進んだならばどうなるか。
進んだならば、そうなれば異常なことが多発する。
そう、社交院はこの異常と呪いを同じと見ているのだ。
そしてこの考えに至らなかった自分達を指摘するように、あちらは言葉を重ねる。
「崩壊が進む日には必ず創生区域に異常が生じる。直接流魔に干渉して加護を発動しているアマテラス系加護は、崩壊が進めば異常が生じるのも同然のことだ。そして直接流魔に干渉しているからこそ、崩壊に何らかの影響を与えていると考えられるが?
それをどう反論するのだ、アマテラス系加護を信仰している限りはこれは必然。呪いなどと言う堕ちた神の悪行と同一視し、アマテラス系加護を汚さないでもらいたいな!」
社交院側に勢いが付いた。
その声に住民は震え、何かを感じた。
顔を見合せ、彼らは発した。言葉と言う意思を。
円の外からは、視聴していた者達が口を動かし意思が聞こてきた。
「日来の未来を託すなら経験を積んだ社交院の方がいいのかもな」
「若いのも良いかもしれないが争いがあると、私のような子を持つ身としてはちょっとねえ」
「皆、散々になるのはもうこの際仕方無いだろうさ。まず死んでしまったら意味が無いからな」
「呪い、て言われてもなあ。他へと移り住んで別の宗譜に代えればいいだけだから」
などと言う、社交院を押す声が聞こえる。
先程の言葉で、先行きの見えない日来を導いてくれる者として社交院が支持されつつある。
若い自分達では、住民は支持をしてくれないのか。
このままでは駄目だ。
「どうするカ? あっち、ちょっと勢い付いて来タ」
「先程の言葉はこちらに向けた言葉ではなく、住民の支持を仰ぐための
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