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王道を走れば:幻想にて
第6章、その1:束の間の癒し ※エロ注意
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「俺もだ・・・蕩けそうだよ」
 
 二人の言葉に偽りは無かった。娼婦が感じるそれは、幾年もの経験を通じて一度足りとて衰えもしなかった肉体から感じる悦び。ミシェルが感じるのは、己の分身を溶解してしまうかのようなえもいわれぬ悦楽。互いに互いの足らぬ部分を埋め合う、淫猥で、純真な行為。獣欲に塗れぬ二人の心は静かに鳴動を始める。
 互いの背に手を回して腰をゆっくりと動かしあう。抽送に激しさを求めず、温もりを共有して思いを溶かす事を目的とする。ひしと抱き合う二人は首筋に唇を埋めて、息を混ぜあう。

「んっ・・・あっ!はぁ・・・そうよ、もう少し奥をっ・・・」

 その言葉と共に挿入が俄かに深くなり、女が求めていたその部分に亀頭の先端が擦れた。それが彼女にとっての悦びである。肉体的な通じ合いもまた愉悦であり、その刺激は断続的で且つ、激しきものであればあるほど高みに向かう。本能も理性も否定しない悦楽であり、今陰部を迸るそれがそうである。厚い胸板に胸の頂が潰されて擦れ、豊かな二つの丘が潰されるのもそれであった。
 だが思いを通じ合わせた行為はその幾倍もの恍惚感を与えてくれる。肉体の剣と鞘、情事という一場面でのみ交わるそれは乱暴さに身を任せば徒に傷を負うかもしれぬし、何より愛情が独りよがりなのだ。身体でのみ愛を感じるのは人間としてあるまじき性。だが心を通わせた情事であればより大きな充足感を感じられる。肉体的な繋がりに加え、唯の情事では埋まらなかった筈の孤独や、寂しさ、それらが全て虚無の彼方へ消えていくような気がするのだ。これこそがクウィス領最高の娼婦がどこまでも追求し、己を求める客らに与える、至高の法悦であった。

「ねっ、凄いでしょう?私がなんでっ・・・んあああっ・・・一番なのかっ、分かったぁ?」
「ああっ・・・こんなの、病み付きになりそうだっ」
「いいのっ、いっぱいしてっ!あ、ああああっ・・・凄い、熱くて硬いぃぃ・・・」

 ミシェルは熱に浮かされたように腰の動きを早くしていく。余裕ぶっていた態度が嘘のように消えている。己の半身を覆う膣壁や、体躯に寄り掛かる相手の温もりを感じて、今まで感じた事が無いような高揚感に囚われているのだ。淫靡で、そして魔性の娼婦の心に。深き海にも似た抱擁感が心地よく、自分の総てを曝け出してしまいたいという欲求に駆られた。腰の躍動と高まる射精感はその証明である。
 だが自分はあくまでも、相手に優しさを与えるべきなのだ。ミシェルはそう己に言い聞かせて、過剰な腰付きを理性を総動員して控えさえる共に、相手への愛撫を怠る事は無かった。娼婦が繋がりを求めるのであればそれに応えるまでである。肌の摺り合わせに合わせてミシェルは己を身動ぎさせ、人が人であるべき官能を求める。その情交を一場面ずつで区切ってみれば、美しさを追求した絵画にも見
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