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王道を走れば:幻想にて
第6章、その1:束の間の癒し ※エロ注意
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けるような場所では御座いません」
「なるほど」
「私共と致しましては、他の賢人の方々を訪問させていただきたいと思っております。既にその準備は整っておりまして、二日後にはまた出立する予定であります。此度は、騎士アリッサと一緒に」
「ふむ、そうか。ならば気をつけて行かれるがいい。人間の同胞を失うのは辛いからな」
「はい、そのつもりです。イル殿の想いを無駄にせぬよう、努めて参ります。・・・そういえば先日、キ=ジェ様と御逢いした時にですね、私、魔獣の子供と逢ったのですよ」
「・・・子供、とな?」

 興味深げに視線を遣ってくる。慧卓は世間話をするように、実にのんびりとした口調で返した。

「ええ。水車小屋の近くでね。兵士達の話を聞くに、それはラプトルという魔獣であると先日分かった次第です。青い肌に鋭い黄金の眼差し、そして鋭い爪と牙。私の腰ほどの大きさしかない子供でしたが、とても勇敢な獣でありました。
 つかぬ事を御伺いしますが、あのラプトルという種は本来は群れで行動する種族なのでしょうか?私が子供と逢った時は、どうもあの子は一人でしたので、つい気掛かりとなっているのです」
「その問いに対する答えは、イエスだ。確かにラプトルは群れで生活する獣だ。本来は帝国領北方の山岳地帯に生息するのだが、この時期は獲物を求めて此方に流れてくる群れもある。貴殿が逢った子供というのは、その群れに属するものなのだろう」
「ええ。幸いにも子供を群れに返す事が出来て、我々もその爪の餌食となる事態から免れる事が出来ました。とても幸運で、貴重な体験であったと思います。・・・恥ずかしながら私、この『セラム』に参りましてから一度も、魔獣と逢った事がありませんでしたので」
「・・・『セラム』か。なんと王国人らしい考え方よ」
「・・・イル殿?」

 エルフの統率者としては不釣合いな、軽蔑的な微笑を浮かべている。慧卓が零した言葉に、口舌の輩としての些細な自負心が刺激されたのだろうか。話はやけに饒舌であった。 

「貴殿は恐らく知らぬと思うがな、『セラム』なる言葉は我等エルフの歴史には通用せんのだよ。我等が命を落ち着ける世界に勝手に名前を着けるなど、おこがましいと考えるのでな」
「そうなのですか・・・」
「我等はただ自然と生きて、自然を受け入れ、そして命を燃やす。それを積み重ねて、次代の者達へ自然を返していくのだ。この自然は子孫からの借り物ゆえ、無下に扱う事は出来んからな」
「・・・その御考え、とても感銘を受けました。エルフの方々はとても真摯に自然を見詰めていらっしゃるのですね」
「その通りだ。王国とは違うのだよ。貴殿の国は東方の山々に、鉱山を乱造させていると聞く。どうだ、無事に帰還した後に執政長官殿に言ってはくれんか。『自然破壊など理性の暴挙に過ぎん。頭を挿げ掛け
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