第6章、その1:束の間の癒し ※エロ注意
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をしているようであった。彼女なりに思うところがっての調査であろうし、聡明な彼女の事だ、不明瞭な情報を下に調査をしたりはしないだろう。慧卓は期待を彼女に寄せつつ、ユミルに告げた。
「ユミルさん。一応ですけど、リコに弓を教えてもらってもいいですか?自衛の手段を確保していかないと、この先、どうにも安心できなさそうです」
「分かった。・・・お前も知ってると思うが、パウリナにも剣を教えているんだが」
「ええ。進展はどうです?」
「・・・まぁ、半年程度であれば、なんとか一般の兵卒レベルまで鍛えられそうだ。それくらいで充分だろう?」
「あの人の本分は機動力ですからね。得意分野とは違う部分まで過剰な期待を押し付けちゃ、却って負担になっちゃいます」
「ああ、正論だ。だがお前の場合は別だな」
「・・・はい、精進します」
慧卓は素直に頷き、己の職務が望むべき本来の役割を全うせんと、嫌々に決意する。苦手なものを得意とするのは慧卓とて、嫌いな努力の一つである。小魚の開きも時々皮を合わせて頬張るのだが、矢張り塩を塗していないためかパンチが弱く、舌がどうしても寂しく思える。
「・・・塩があればなぁ」
「諦めろ。塩の領分はドワーフと帝国だ」
「・・・はぁ。世知辛い」
エルフ領なら絶対に手に入らないであろう資源を恋しく思いながらも、慧卓はぱくぱくと開きを咀嚼していく。束の間の休息を静かに堪能しつつ、慧卓は俄かに膨れた腹を伸ばすように地面に横たわり、ぼんやりと空を見上げる。温かな木漏れ日はどことなく眠気を覚えた頭になんと優しき事か。
しかしここで寝ては誰が子供らの面倒を見るのか。何度か軽く頬を叩いて意識を起こし、慧卓は細い目で彼らを穏やかに見やった。何とも生き生きとした姿であり、束縛から解放されたかのような晴れやかな笑みを浮かべていた。
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「・・・ふーん。そんな事があったなんてな」
「どう、確認取れる?」
「まぁ、後で会う予定があるからな。その時にさり気なく聞いてみるよ」
川釣りの片付けを終えて、慧卓はキーラから、彼女が今気になっている事というものを聞き出していた。成程、確かに最近は森に住まうエルフらの姿がめっきり減ってしまっている。それも全て大人の男である。子供らや女性らは家事や仕事で森を空ける事もあったが、大体数日程度で帰ってきたという。しかしキーラが子供らから聞く所によると、大人達は数週間分の用意をして旅立ったという。キーラが奇妙に思うのも仕方が無かった。
「にしても、あのイル=フードがねぇ。本当にあの人が出兵を下したんだったら、あの人、実は結構やばい立場にあるんじゃないかな」
「そう、なの?」
「うん。この時期に態々魔獣を狩りに行く意味がない。いつどこで暴動が起こ
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