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王道を走れば:幻想にて
第6章、その1:束の間の癒し ※エロ注意
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がら焼き魚を頬張っていく。慧卓が手製の箸で食べているのは矢張り魚の開きであった。北の冷たい清流で育った小魚は身が引き締まっており、その小ささと反比例して肉厚である。臭みの無い、ほくほくとして旨味のある味わいである。

「はぁ・・・偶にはこういうのも悪くないね」
「そうですね。貴族の身分のままでは絶対に味わえない、貴重な体験です。大切にしたいですね」

 キーラは気品のある食べ方で串焼きを頬張っていた。子供らやパウリナやリコも、同様に魚をがつがつと食べているようだ。食べ盛りとあってかリコの食べ方はその容貌と反して豪快であり、見ていて清清しきものであった。
 ユミルは慧卓と同様器用に箸を扱いながら、開きの方を味わっている。気に召したらしく何度も頷きながら食している一方で、会話の方は至極真面目である。

「ケイタク、一つ聞きたいのだが」
「なんれふ?」
「イル=フードやニ=ベリとはどこまでいっている?」
「・・・まぁ、上層部とは表面上仲良しですよ?ただ下がねぇ・・・」
「奴らの部下か?・・・相変わらず嫌われているようだな?」
「ま、まぁそうですね。あの人達に会いに行く度に、道すがら罵倒されるくらいですから・・・」
「おいおい・・・お前は補佐役なのだぞ?もう少し威張ってもいいんじゃないか?」
「罵倒するのは子供とか、同い年くらいの連中ですから特に気になりはしないんです。ここの子達は例外で、仲良くしてくれるんです。ほら、例の案内役の男の子いたでしょ?あの子が口利きしてくれたたんです。ただね、大人達の腐って腐臭を出す豚足を見るような視線は本当に・・・辛いです・・・」
「ケイタクさん、元気出して。ほら、これ食べて下さい」
「あ、ありがとう、リコっ。・・・お前、将来モテるぞ」
「そんな簡単にモテたら人生苦労しないわ」

 リコから魚の串焼きを一口貰って慧卓は微笑む。食事の席であるため口調はとても穏やかであるが、ユミルに合わせて会話の中身は至極全うなものであった。

「へ、へゆうわへで、ごくっ。お偉方とはこれからも仲良し方針ですね。でも何となく肌がビリビリとしてきたってアリッサさんが言ってきましたから、警戒に越した事はありません」
「俺もそう思っていたところだ。この森、村に行っていた時に比べて幾分か緊張しているように思える。・・・おいリコ、最近何かあったのか?」
「・・・いや、僕は特に何も知りませんけど」
「そうか・・・。キーラ、知ってるか?」
「もぐもぐ・・・ごく。最近ですか?うーん・・・あるにはあるんですけど、眉唾な上にちょっと機密扱いかもしれませんから・・・」
「・・・との事だが」
「分かりました。キーラ、後でアリッサさんを交えて三人だけで話そう。いいね?」
「はい」

 慧卓らが知らぬ所でキーラも独自に調査
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