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王道を走れば:幻想にて
第6章、その1:束の間の癒し ※エロ注意
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戟の一悶着を口から滑らす。その事実を聞いてキーラは激怒し、更にはアリッサまでもがそれに加担し、こうして慧卓を吊るしているというわけである。
 初めの十分は苦痛でしかなかったが、しかし直ぐに慣れて寧ろ貴重な体験だと思って逆に状況を愉しみ始めたのは、偏に慧卓の性質によるものであった。御仕置きと称した行為が効果をなさぬ事にキーラは溜息を吐き、パウリナは助言を囁いた。

「キーラちゃん。お仕置きはね、もっと繊細な部分を責めなくちゃ効果無しだよ?だから今度はね、色落とし的なちょっとふしだらな感じの奴で責めれば・・・」
「せ、責めるってパウリナさん!?」
「そ、そんなの出来ないですっ!なんというか・・・恥ずかし過ぎて・・・」
「そんなのやってるうちに慣れちゃうよ?それに興味もあるでしょケイタクさんの弱った表情とかさ。きっとそれを見たら、高揚感のような気持ちいい感情みたいなものが湧いてくるんだろうなぁ。病みつきになるかもね?」
「おいパウリナ。お前純粋無垢な少年少女相手に何を吹き込んでいる?」
「いやですねぇ、御主人。無垢だからちょちょいと唆したくなっちゃうんですよ。でも許してくれるよね、キーラちゃん?」
「はい。悪気が無いのは分かっていますし、応援してくれてるっていうのも分かりますから」

 何ともいえぬ顔付きとなってユミルは顔を掌で覆い隠す。ちらりと横に目を向ければ、同じような顔つきをしたエルフが立っている。イル=フードから派遣された監視役の衛兵であった。

「お前も苦労するな。こんな奴を監視せねばならんとは」
「・・・同情しないでいただきたい」

 何とかしろよ、といわんばかりに鋭い視線を送られるも恋する少女をどうにかするなど、ユミルが解決できる問題ではなかった。
 何とか一端の落ち着きを見せた彼ら一同は、慧卓と監視役が視線を送る中で本来の作業を始める。川で釣った魚の調理であった。遠路から戻ってきた慧卓らに許された一時の休憩であり、地元の者達との交流の場である。生憎好奇心から来る子供達のみの参加であるが、それでも身内のみでやるよりかは遥かに賑やかであった。御目付け役が居るという事はイル=フードらは暗黙の内に承認しているという事であり、慧卓らは何の気兼ねなく調理をする事と相成った。
 先生はユミルとなり、魚の捌き方を一通り皆に教えている。普段は狩りや勉学、或いは農耕地での手伝いを主としている子供らは魚に余り慣れていないのであろう、真剣にそれを聞いてゆっくりとそれを捌いていく。魚の串焼きを幾つか作り、そして慧卓の所望もあってか魚の開きも作る予定である。彼のためと奮起するキーラであったが、その包丁捌きは見ていて背筋が冷えるものであった。柄をぐっと握り締めて刃を腹に突き刺し、勢いのままに滑らそうとする。くいっと包丁が抜けて、血に濡れた刃が
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