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王道を走れば:幻想にて
第四章、その5の3:青き獣
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の法律とはここまで放埓な事まで認めているのだろうか。というよりも自分の国がどんな法律を施行しているのかすら知らない自分を責めればいいのだろうか。アリッサの頭は一時の混乱に陥り、それを隠すかのようにハーブティーを露骨に啜った。
 その間にもキーラは目をきらきらとさせて、恋する乙女の形相となってリタと話す。

「私だって一番になりたいですよ?でもそれじゃコーデリア様が悲しい思いをされてしまいます。私の大事な方を傷つけてまで自分の思いを成就させたくありませんから、私は二番でいいんです」
「とても素晴らしいお考えだと思いますわ。でも女性の一人として言わせていただくならば、そこはもう少し欲張ってもいい所だと思いますよ、キーラ様」
「そ、そうですか?でも私、ケイタクさんと一緒に居られるなら順位なんて・・・ねぇ、リタさん?」
「まぁ、そうですわね。男性から目一杯愛されるというのは、とても幸せな事ですから。それが自分が愛する男性であれば、尚更ですわね」
「・・・ケイタクさんのって、どういう感じなんだろうな」
「とても激しいものですわ、きっと。ケイタクさんはどのような攻め方をなさるのか、少し興味がありますわね」
「うん、気になります・・・凄いんだろうなぁ」

 最早アリッサには付いていけぬ話の展開振りである。二人が何を話しているか何となく察しが付くが、それを写実的に想像してしまえば一環の終わりである。初風に寝静まる森が噴火するかもしれない。
 そんな彼女の心配を裏切るかのように、リタは実に浮き浮きとした様子であり、言葉に桃色の熱を篭めながら言う。

「あの方の言動や行動から推測する限り・・・夜の方でも情熱的なのは間違いないでしょう。最初の一度で全てを食べられてしまうかも」
『全てっ!?』
「その上、何度も求められるでしょうね。それはもう暁が黄色く見えてしまうほどに」
『何度もっ!?』

 何を想起したのだろうか、乙女二人の顔が頬から耳朶まで真っ赤となる。はわわと言葉にならぬ絶句の息を漏らすアリッサは、あわわと一風嬉しそうに頬を緩めるキーラと視線を合わせた。

「だ、だ、男性って怖いな、キーラ殿」
「・・・アリッサさんもどうですか?」
「わ、わわわ、私はっ・・・いや、今はいいっ!まだ早過ぎるっ!!」

 顔の赤みを隠すのを諦め、アリッサは怒ったように眉を顰めながら茶を啜り始めた。彼女なりの照れ隠しをリタはにやにや悠々として見下ろし、キーラは要らぬ妄想を膨らましてにやけ続けていた。経験と知識、どちらを蓄えるかによってこうも差が違ってくるとは。二者の初々しき反応を見てリタは面白おかしき声を漏らしたくなり、内心で話題の中心である慧卓に向かって喝采を鳴らし続けた。
 数分後、アリッサは漸く落ち着きを取り戻し始めた。カップの中身を空っぽ
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