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王道を走れば:幻想にて
第四章、その5の3:青き獣
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「つっ、つまりだな。キーラ殿はケイタク殿が、その、好きなんだろ?異性としてだ」
「は、はい・・・好きです」
「だからだ、王女という地位的にも優れた女性が同じ人を好きになったとしたら、貴方に不都合が働いたりしないか?その、政治的なものも含めてだ」
「そうですね・・・働かないというのは、まず考えられないでしょうね。だってコーデリア様は王国の王女ですから。その方が恋愛をなさるとしたら、王国中の注目を集めちゃうでしょうね。私だって、あの人の事は応援したいです。本当ですよ?」

 意外にも予想だにしない答えが返って来た。恋の争いとは他者を排斥する事によって勝者が決定するとばかり、アリッサの地獄耳は貴族令嬢等の話から窺っていたのだが。目を白黒させるアリッサの顔を見て、キーラは面白そうに笑みを深めた。

「でも、私だってあの人の事が好きなんです。・・・ちょっとですけど」
「ちょっと?」
「ええ。まだちょっとしかあの人の事を知らないし、ちょっとしかあの人と触れ合えてない。だからこれからどんどんあの人の事をもっと好きになって、あの人の力になりたいんです。・・・そうすれば私だって幸せだし、ブランチャードの未来も安泰です」
「・・・そうか。そういう見方もあるのか」

 親のため、家族のために恋愛を成就させる。政略結婚の去来を何度も見てきたアリッサにとっては斬新とも思える考えであり、なぜか腑に落ちてしまう考えでもあった。不意に脳裏を掠めたクウィス領土の跡継ぎ問題のためである。叔父に何度も急かされるそれを騎士の任を成就するためと固辞し続けているが、そろそろ良い年頃である。いい加減に生涯の伴侶を得ねば邪気のある他の介入を受ける危険があった。となれば己が納得出来る人物を選ばねばならない。たとえば、慧卓など。

(・・・はっ!!わ、私は何を考えているんだっ!?) 

 今度は口から漏らさず、手で口を覆い隠すだけに留まった。しかし頬に差した紅潮までは隠せず、リタの悟ったような醒めた瞳を受ける結果と相成った。顔の熱に気付かずにいる、或いは気付かない振りをしている彼女を見ずに、キーラは一人ぼそぼそと言う。

「・・・それに、もし妻になれなくておも、せめてあの人のツバメにはなって・・・」
「・・・リタ、ツバメとはなんだ」
「愛人という意味です」
「なにっ!?」
「それは言い過ぎですっ、リタさん。せめて第二婦人とか、その辺に抑えてくれないと」
「でも事実ではないのですか?」
「そ、そうかもしれないけど!でも王国家族法の8条は知ってるでしょ?『王国に過大なる功績を残した者については特別結婚委員会の公正中立なる審議を経た上で、その重婚を認可するものである』って」
「そ、そうなのか・・・知らなかった・・・」

 またしても驚きの事実である。王国
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