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王道を走れば:幻想にて
第四章、その5の3:青き獣
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フで仲良い奴って結構少ないからさ、俺。森に戻っても仲良くしてくれるか?」
「・・・・・・考える」

 慧卓は小さく笑みを浮かべて少年の頭をぽんぽんと撫でた。むずか痒そうに瞳を細めながらも少年は抵抗しない。どことなく心地良さげに漏らされた息が何とも保護欲を誘うものであり、慧卓はつい軽く声を漏らしてしまった。



ーーーーーーーーーーーー


「お帰りなさいっ、アリッサさん!!」
「ああ。遅くなってすまない」

 夕焼けが落ちて月が顔を出す頃、アリッサは漸くといった具合にタイガの森へと戻ってきた。家屋の中へと歓迎しながらキーラはその帰還に笑みを浮かべる。予定よりも大分遅れた帰還であったため、少し心配になっていた所であったからだ。
 奥の方からリタがやってきて、アリッサから雨除けの汚れたロープを受け取る。

「お疲れ様です。今御茶を出しますね」
「ああ、すまないな。リコはどうした?」
「お隣の厩舎で兵士さんと遊んでいるようです。もう少ししたら帰ってくると思いますよ」
「そうか」

 髪や衣服の乱れを整えながら、アリッサは一息を吐きながら藁椅子にゆっくりと座る。瞳を閉じて天井を向き、目端の方に力を入れて皺を寄せていた。そういていると、奥の方から軽やかなハーブの香りが漂ってきた。鼻孔を爽やかに擽るそれはまさに癒しの香りである。
 目を開ける。キーラが目の前のテーブルにハーブティーを置いてくれた。

「どうぞ、御茶です」
「ありがとう。・・・なぁキーラ殿。一つ尋ねるが、ケイタク殿もまだなのか?」
「ええ。まったく、予定通りなら今日あたり帰ってきてもいいのにっ。本当に一体全体どこで何をしているんでしょうね?」
「あ、ああ。そうだな」
「寄り道とかしているんだったら、私あの人の事見損なうかも。・・・いやでもケイタクさんならやりかねないし・・・うーん・・・どうしたらいいんだか」

 微笑ましいかどうかは分からぬ、一人で面相を二転三転させる光景に苦笑を浮かべながら、アリッサは茶を啜る。香りと同じような爽やかな味わいに何ともいえぬ慰労の念を覚えてしまう。
 キーラは顔の変化を変えて、アリッサに謝罪した。

「あ、ごめんなさい。疲れているのにこんな話して」
「いやいいんだ。貴方がケイタク殿の事を真剣に想っているのは理解できるからな」
「は、はい・・・すみません・・・」
「・・・それにしても、短い工程の割には疲れた気がするな」
「そうなのですか?」
「ああ。向こうで寛大な歓迎会とやらを受けてな。なんとも気疲れする会だった。これが数日も続けばどうなるか、分かるだろ?」
「あ、あはは・・・本当に苦労をなされたんですね」
「老人の相手というのは疲れる。いや、本当にだ」

 多少なりとも真剣みのある表情で言
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