After days
spring
Happy Valentine
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Side螢
病院を早々に自去し、俺は昨日、和人と完成させた『チョコレート』の入ったメモリーを持って別のとある病院にやって来た。
『横浜港北総合病院』
「……………」
その病院の門で立ち止まると、表情をガラリと変える。
それはまるで、SAOのフロアボスと戦う時の真剣な表情だった。
下唇をギュッと噛んで一歩前へ進む。重く鈍い足を少しずつ進めていき、自動ドアを開け、受付に名を告げる。
年輩の知り合いの看護師は、ハッと俺を見上げると表情を和らげる。
「すぐにお呼びしますね」
そう言うと、傍らの院内電話を手に取る。
5分ほどしてその人物はやって来た。
「こんにちは。倉橋先生」
「やあ、2年ぶりかな?螢君」
俺は座っていたソファーから立ち上がると深々と頭を下げた。
彼は奥の小さな喫茶スペースを指差すと、そこへ歩き始める。
向かい合って座ると、俺はいきなり本題に入った。
「これ、VRクッキングソフトで作ったんですけど、いつも通りに木綿季に渡して下さい」
俺は用意していたメモリーを倉橋先生に渡した。
「あ、もしかしてチョコレートかい?」
「まあ……そうです」
何がおかしいのか倉橋はにっこり笑うと「確かに」と言ってそれをしまった。
だが、再びこちらを向いたときには、寂しそうな顔をしていた。
「螢君、君達の関係の概要はなぞりだけは僕も知っている。君の立場も分かった上で言わせてもらうけど……やっぱり僕は……」
「……信じられませんか?」
治療法が確立されていない免疫不全症、AIDS。それが俺の大切な人――木綿季の病気だ。
倉橋が言わんとしてることを悟った俺は少し声を低める。
「心配要りません。俺が会いに行くまで木綿季は死にませんから」
「そんなのは分からない。現に、藍子さんは死んでしまいました」
――ガタンッ!!
冷淡な口調で淡々と語る倉橋の襟を掴み上げ、怒りの目で睨み付ける。
「あんたは――医者だろ!!可能性があるなら――0%じゃないなら、諦めない。そうゆう存在だろ!!治って欲しくないのかよ!?木綿季は、あんたを信頼してるんだ。間違ってもそんな顔をあいつの前で晒すんじゃねえ!!」
いつもそうだ。この医者を前に木綿季の話をするとき、俺は冷静になれない。
「……違う。君の事を思ってのことだ。君はまだ若い。木綿季君を盲執すれば絶望する。その警告だよ」
握り
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