After days
spring
Happy Valentine
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か。子供達にチョコレートでも、と思ったのですが、何分作ったことが無いので苦戦している所ですよ」
「ほう?」
興味を持ったのか手早く用意した茶漬けを食べながらいくつかある雑誌の1つに目を通す冬馬。
「む……ワシにはカカオバターだのレシチンだの妙な横文字の意味がわからんのだが……」
「カカオバターはココアを製造する際に出るもので、レシチンはリン脂質――乳化剤の一種ですね……人間も脳・神経・血球・肝臓などに多く保有してますよ」
「……そうゆうことを訊いているのではないがな……」
冬馬が苦笑し、雪螺がばつ悪気に雑誌を閉じる。
そんなこともあり、数週間で彼らの間の溝は埋まりつつあった。
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Side沙良
翌日。
病室にお見舞いに来た和人に明日奈は恥ずかしそうにチョコを渡していた。
「……キ、キリト君。これ……」
「お、おう。……ありがとう」
2人の顔は真っ赤だ。武士の情けとして突っ込みは無しに、兄に倣って病室の外へ出る。
兄は壁に寄り掛かり、穏やかな顔で笑っていた。
「お兄様、どうぞ」
「お、ありがとう」
準備していたチョコを兄に渡す。実を言うと、少しばかり緊張はしていたのだが、兄は素面で受け取る。
少しも動揺をしていない兄を見ると悔しさが込み上げるが、それは不快な気持ちではなかった。
「久しぶりだな。沙良の作ってくれたものを食べるのは」
「毎年、連兄様にはあげてましたよ。お兄様が受け取って下さらなかったのです!」
「わ、悪かった……」
機嫌悪くなったように見せ掛けた態度を取って螢を困らせる。
オロオロする兄を内心では面白がりながら冷たく当たる彼女はとんでもない悪女だった。
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Side蓮
「……………」
「さ、遠慮せずに食べるがいい。自信作だ」
これで自信作なのか!?と疑いたくなるようなモノがそこに鎮座していた。
まず、チョコレートにローソクは絶対に立っていない。
ていうかそのローソクは仏式の葬式に使うものだ。家は神道の筈なのに、何故あるか。
「蓮、せっかく雪螺さんが作ってくれたのだ。食べなさい」
それにあんたらいつの間に仲良くなってんだ。この間まで殺気の応酬だったのに!!
祖父まで急かし始めたので、俺は仕方なく、それを口に運んだ。
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