はじまりの街と軍
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まりないことが気になってるのか?」
「うん」
「そう言われると……。マーケットのほうに集まってるのかな?」
「じゃあ、行ってみるか」
しかし、広場から大通りに入って市場エリアにさしかかっても木の下に座り込んだ男とNPC商人しか見えなかった。その唯一のプレイヤーにアスナが話し掛けた
「あの、すみません」
「なんだよ」
「あの……この近くで、訊ね人の窓口になってるような場所、ありません?」
むっ……アスナを見る目がいやらしい……
「なんだ、あんたよそ者か」
「え、ええ。あの……この子の保護者を探してるんですけど……」
今は俺の腕の中に移ってまどろんでいるユイを指し示すアスナ。すると銀さんに似た死んだ魚のような目をした男は多少目を丸くした
「……迷子かよ。珍しいな。……東七区の川辺リの教会に、ガキのプレイヤーがいっぱい集まって住んでるから、行ってみな」
「あ、ありがとう」
というわけでとりあえず教会に行ってみることにしたがキリトが街路樹になっている黄色い果実を狙っていたが、俺は首根っこをつかんで引きずった「あ、ああ……うまそうなのに……」……知るか!
東七区について川沿いに歩くと道の右手に広がる一際高い尖塔を見つけた。だからそこに向かって歩きだそうとするのだが
「ち、ちょっと待って」
「ん?どうしたの?」
「あ、ううん……。その……もし、あそこでユイちゃんの保護者が見つかったら、ユイちゃんを……置いてくるんだよね……?」
「……」
ためらうのも無理はない。アスナは本当の子供のように考えていたのだろう
「別れたくないのは俺らも一緒さ」
なっ?とばかりにこっちを見てくるので俺は頷く。例え俺の予想通りだとしても、本当の家族のように思っているから……
「会えなくなるわけじゃない。ユイが記憶を取り戻したら、きっとまた訪ねてきてくれるさ」
「ん……。そうだね」
アスナは小さくうなずくと、ユイに頬をすりよせ歩きだした。俺らもそれに続き歩きだした
「あのー、どなたかいらっしゃいませんかー?」
アスナの声が誰もいない教会の一室に響きわたるが、誰も出てくる様子はない
「誰もいないのかな……?」
「いや、人がいるよ。右の部屋に三人、左に四人……」
「二階にも何人かな」
「……索敵スキルって、壁の向こうの人数まで解るの?」
「熟練度九百八十からだけどな。便利だからアスナも上げろよ」
「いやよ、修行が地味すぎて発狂しちゃうわよ」
「不意討ちを防ぐためにすごく役立つんだ
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