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儚き運命の罪と罰
第二章「クルセイド編」
第二十三話「二人の関係」
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違いなく今、こうしてフェイトの体が五体満足で揃っているのも命があるのも彼の手術が有ったからだろう。……そんなことを考えているといきなり額を指で弾かれた。

「きゃうっ」

「全く……辛気臭い顔するな。医者が患者に見せてもらいたい顔はそんなんじゃねえよ」

つってもなぁ、と言って頭をかく。

「なんか俺が先に見たら嫉妬に狂った約二名に背中刺されそうなんでな」

「え」

「わかんねえのか?」

サングラスを直しながらエドワードはフェイトから目線を外して部屋の入口を見た。フェイトはぼんやりとその壁にシルエットのような影が浮び上がっているのが見える。片方は華奢な少年。片方はなにやら獣を思わせる女性。

ゆっくりと二人は部屋に入ってきた。

「嫉妬に狂った約二名とは何処の誰の事だ?」

「身に覚えがないとは言わせんよ」

やんわりと答えるエドワードにチッと舌打ちして(それでも電撃による制裁を行なわない辺り彼に恩は感じているのだろうが)どさっと近くの椅子に腰をおろした。対照的に女性の方は真っ先にフェイトに駆け寄って来る。

「フェイトぉおおおおおおお!!!!」

「あ、アルフ」

「良かった……! 本当に……ッ!」

麻酔はまだ残っていて、体の感覚はまだ鈍い。
だがそれでもハッキリとした感触がある。それほどに強く抱きしめられていると言う事だ。つまりそれだけ心配させた。

「ごめん、なさい」

知らず知らずの内にそんな言葉が漏れる。

「ごめんなさいっ、私が、ただ私が……ッ!」

そこからはもう言葉にならなかった。フェイトの背中を暖かい何かが濡らしていく。フェイトも涙を流した。
ずっと傍に居てくれた、大切な人達。
どうしてこんなに心配させてしまったんだろう、と。

−−−−−−−−

――――自分はフェイトと言う少女の何になれるのだろう。

リオン・マグナスはずっと考えていた。
仲間、と言うのはこんな時に酷く曖昧だ。敵でなければ仲間。それは人と人との関係と言うものにに(うと)いリオンでも何かが違うとわかる。求めているものはそんな曖昧なものではない。あってはいけない気がした。
リオンからベッドまでの距離は僅か1m足らず。歩けば一歩でも届くだろう本当に短い距離。なのにリオンには果てしなく遠く感じた。

今までは(、、、、)

「フェイト」

リオンはゆっくりと近づいてその前に座った。

「お前は弱い」

言葉に反して晴やかな顔だった。
……リオンを知るものが見たらきっと『似合わない』と言っただろう。彼は良く言えば何時も冷静で悪く言えば冷酷だった。慈愛とか優しさとか、そう言った暖かい感情から縁遠い人間だった。

だが何を持って似合う、似合わないな
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