第二章「クルセイド編」
第二十三話「二人の関係」
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エレギオ・ツァーライトは思わず困惑した。
「魔法を教えてくれ……だって?」
目の前には高いであろうプライドをへし折って頭を下げる少年一人。
確かにリンカーコアはあるしちゃんと鍛えれば魔道士としてモノになるだろう少年。
だがエレギオは首をかしげた。
「お前、魔法必要なのか?」
エレギオ・ツァーライトは犯罪者でありながら、戦力としては管理局のエース級にも匹敵するとも言われる超一流の魔道士である。
だがエレギオも当然無敵ではない。彼に勝てない相手はいる。
例えばこの目の前の頭を下げている少年とか。
晶術。魔法とは違う力。それを振るう少年の技量は圧倒的な物と言えるほどだ。
そして何より
「て言うかお前魔法使ってあんな目に遭ったってのに?」
信頼できる力があるのに一体どうしてそんな危険性の高い力をどうしてわざわざ習得する必要があると言うのだろう。エレギオには到底理解できなかった。と言うより誰がなんと言ってもマトモな考えだとは思わないだろう。無駄も良い所だ。
だが少年は尚も続ける。
「頼む……ッ!」
ついに少年は恥も外聞もかなぐり捨てて地に頭をつけた。
そこまでされて漸くエレギオは冷静さを取り戻す。
「まあ座れや。事情があるんだな? 話してみろ」
−−−−−−−−−
手術医姿のまま、フェイトはゆっくりと目を覚ました。
「よぉ。おはようさん」
銀髪もじゃもじゃの医者が優しい目でフェイトを見下ろす。リオンを起こしてから大体三時間が経過した所だった。エドワードの姿を見て腰を上げようとするとエドワードがそれを手で制した。
「良いって。まだ麻酔は若干残ってるだろうから力入んないだろ?」
その言葉通り、起き上がろうとしても上手くいかなかった。取り分け下半身にまだ麻酔が残っているようでなにやら異物感のようなものさえ感じる。まるで自分の足が自分の物でない様な感触。なのでフェイトはエドワードの言葉に甘える事にした。
「フェイトちゃん。覚えてるかい?」
何を、そんなこと聞くまでも無い。昨日の事、だろう。フェイトは思わず自嘲の笑みを浮かべる。あれほどに愚かな人間が他にいるだろうか。勝手に恩人に暴言を吐き捨て自ら立場も弁えずに飛び出て挙句の果てには冷静さも失って勝手に死にかける。そして多分……いや、間違いなく自分を助けたのはリオンだと思った。エドワードはそんなフェイトを見てやれやれといった感じに首を振った。
「そんな泣きそうな表情すんな。折角助かったんだから」
そういうエドワードだってフェイトの命を救った一人に間違いないことも当然フェイトは気付いていた。なにせ彼は医者だ。間
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