A's編
第二十七話 後
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の事態を知って、正義感から助けてくれたか。どちらにしても、僕を守るように立っていることから考えるに彼女が、僕を助けに来てくれたのは間違いないようだ。
「なん……だと……。バカな。いったい………。ちっ」
彼女の言葉に驚愕し、信じられないというような口調で、何かつぶやいていたが、先ほどの僕のようにこの状況が理解できなくなってきたのだろう。彼は、小さく舌打ちをすると、唐突にこの場から姿を消した。同時に周りの結界も消えたようだ。僕を包んでいた違和感はなくなっていた。
その場に残ったのは、僕と騎士のような女の人だけ。彼女は、しばらく気を抜かずに剣を構えていたが、彼の気配が完全になくなったと判断したのだろう。剣を鞘に戻していた。
「あの……ありがとうございます」
主さんからの命であれ、僕が助けられたのは違いない。だから、僕は頭を下げてお礼を言う。あそこで彼女が助けに入らなければ、僕がどうなっていたかわからないから。
「いや、礼には及びません。私は主の命に従ったのみ。それでは、私はこれにて」
本当は、あなたの主がだれか? ということを聞きたかった。だが、彼女はそんな暇を僕に与えてくれなかった。すぐさま、来た時と同様に空へ向かって飛び立つと、そのまますごいスピードでこの場を離れて行った。
僕にはだれかわからないが、とりあえず、助けてくれたであろう主さんに僕は感謝することにした。
「さて、親父はいったいどこへいったんだろう?」
僕と一緒に消えたはずだが、同じ結界の中にはいなかった。ともすれば、この場に取り残されたか、あるいは、僕と同じように結界に取り込まれたか、である。結界に取り込まれて入れば、それはまずい気がするが。いや、しかし、魔法が発動しているような違和感は感じられない。
どうやって連絡を取ろうか? と考えていた僕の耳に携帯からの着信音が聞こえる。いったい誰だろうか? と画面を見てみれば、そこには『母さん』の三文字が浮かんでいた。どうしたんだろうか? と疑問を浮かべながら通話のボタンを押して、携帯を耳に当てる。
「もしもし、どうしたの?」
『ああ、よかった。ショウちゃん、無事なのね? お父さんがショウちゃんを残して戻ってきたからびっくりしちゃって』
どうやら、勝手に連絡がついたようだ。しかし、僕を置いて家に帰ったってどういうことだろうか? 魔法で何かされたのだろうか? その可能性が高いだろう。よくよく考えたら、さっきの手を伸ばしたのも僕に魔法をかけようとしたのかもしれない。
「大丈夫、僕は無事だよ」
『よかったわ。ショウちゃんは? って聞いても、家に帰ってきてるだろう? なんていうんだもの』
「それは―――」
もしかしたら、彼は僕を家に帰すつもり
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