第十八話 黒真珠の間(その三)
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ナンバー・ツーに睨まれているのだ、皆面目なさそうな表情をしている。後でこってりと怒られるだろう。
気が付けばロイエンタール、ミッターマイヤー、ケンプ、シュタインメッツ、レンネンカンプも集まって来た。どうやら何か起きていると感じたらしい。訝しげな表情で皆を見ている。
「クーリヒ少将、ザウケン少将、ローエングラム公は例え敗者であろうと有能で節義の有る人物だと思えば侮蔑はしません。その事はファーレンハイト提督、シュトライト少将を見れば分かるでしょう。公が侮蔑するのは節義の無い、卑怯卑劣な人間です。そのまま沈黙していて良いのですか? せめて公の前で男らしく自らの非を認めてはどうです。少しは違うと思いますよ」
クーリヒ、ザウケンが顔を見合わせた。おいおい、この期に及んでまだ一人で決断できないのかよ。まあ裏切っていたなんてのは出来るだけ言いたくないんだろうが、だったら裏切り自体するんじゃない。こんな事態は想定外だったか? まあラインハルトが睨んでいるからな、溜息が出そうだ。
「申し訳有りません」
もごもごとした口調でクーリヒが、そしてザウケンが謝罪すると周囲から溜息が洩れた。ラインハルトも溜息を吐いている。“連れて行け”とラインハルトが言うと何処からともなく兵士が現れ二人を連れて行った。警備の兵か、或いは憲兵か……。
「そのディスクの中には何が入っているのだ」
ラインハルトが視線でディスクを示した。
「写真です、ボルテックと親しげに話している何人かの写真が入っています」
「……」
「それだけでは証拠になりませんからね、彼らの自白を引き出しました。上手く引っかかってくれましたよ、閣下のおかげです」
周囲から溜息が聞こえた。なんか嫌な感じだな。
「油断も隙も無い男だな、卿は」
お前もか、ラインハルト。お前の脇が甘いから俺がやってるんだ、少しは感謝して欲しいものだな。
「お渡ししますので使ってください。他にも協力者が居ます」
ディスクを渡すとラインハルトはシュトライトに渡しディスクの中を確認しろと命じた。シュトライトが一礼して場を離れた。この広間にも何人か協力者は居る、首を括りたい気分だろう。
「ところで閣下」
「なんだ」
おいおい、そんな怖い顔をするなよ。俺は味方だよ、少なくとも今は味方だ。
「このような事態が生じたとなりますと国内の防諜、治安維持を担当する組織が必要と思われますが?」
ラインハルトが眉を顰めた。
「卿は社会秩序維持局を復活させろと言うのか?」
感心しない、そんな口調だな。政権安定のためには帝国臣民の支持が必要か、しかし支持を得ようとするのと媚を売るのは別だ。
「閣下が躊躇われるのは分かります。社会秩序維持局は帝国臣民を抑圧する組織でした。それを復活させれば帝国臣民の反発は必至、そ
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