第十八話 黒真珠の間(その三)
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ている人間も多い。協力者を見つける事も煽らせることも躍らせる事も簡単でしょう」
何人か顔を強張らせている奴が居るな。
「馬鹿な、そんな人間が居るわけがない。卿らは帝国の発展のために役だっているではないか。それに私は卿との約束を破ろうなどと考えてはいない」
ラインハルトが力説した。そうだよな、誰だって自分の部下にそんな奴が居るとは思いたくないし嘘吐きだなんて思われたくない。そしてラインハルトは俺が役に立つと理解している。腹が立つ事も有るだろうが、そんな事で排除していたらオーベルシュタインなんて三日と持たずにクビだろう。
だからこそラインハルトの性格では公益より私益を優先する人間が自分の部下に居るなんて信じたくないだろうし理解も出来ないだろう。だが組織が大きくなれば腐った林檎は必ず出る、そして腐った林檎は周囲の林檎も腐らせる。俺の組織でもそういう奴が居た。叩き出したがな。こっちでも俺がやらなければならん、今回はな。
「だからフェザーンは困っているのです。自分達の利益が減り、存在価値が減少している、存続の危機だと……」
「……」
「フェザーンにとって我々の存在は許す事が出来ないものになりつつあるのです」
「……」
「閣下が考えを変え接収すれば良し、そうでなくても私がオーディンの状況を憂え閣下に不安を感じれば良し、いずれ何らかの事件が起きればそれを利用して亀裂を大きくし決裂させよう、そんなところでしょう」
「……証拠が有るのか、一体誰だ?」
低く問い詰める様な口調だ。かなり怒っている。俺に対してか、それとも腐った林檎に対してか。
「そこに居ますよ。クーリヒ少将、ザウケン少将、そうでしょう」
「馬鹿な!」
「何を言っている!」
クーリヒ、ザウケンが口々に否定した。残念だがお前達がフェザーンに、ニコラス・ボルテックに繋がっているのは分かっている。オーディンに開いたウチの事務所を軽視するべきでは無かった。
ポケットから光ディスクを出した。皆の視線が集中する。
「これが何か分かるでしょう? 何が入っていると思います?」
クーリヒ、ザウケンの顔が強張った。眼が飛び出しそうになっている。
「本当なのか、クーリヒ! ザウケン!」
ラインハルトの叱責に近い問いかけにも沈黙したままだ。
「ゾンバルト少将、貴方はこの二人に上手く操られたのですよ、可哀そうに」
「貴様ら……、俺を騙したのか……」
呻く様な口調でゾンバルトがクーリヒ、ザウケンを睨んだ。二人は眼を逸らしたままゾンバルトを見ようとしない。
ラインハルトがどういう事だと問いかけてきたからさっきの一件を話すと苦虫を潰したような表情になった。主人役の面目丸潰れだろう。キルヒアイスも厳しい表情をしている。そして二人が一件に関わった人間を睨み据えた。トップと
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