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銀河英雄伝説〜その海賊は銀河を駆け抜ける
第十八話 黒真珠の間(その三)
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「そうか、それは良かった」

御機嫌だな、ラインハルト。まあ最初で最後は本当だろう。
「メルカッツ提督の事、御理解頂きました事重ねて御礼申し上げます」
「うむ、まだ私の下に来るのには抵抗が有るのか」
少し不満そうだな、まあ若いからな、そういうのが出るのは仕方ないんだろう。

「愧じておいでなのかもしれません、不甲斐ない戦いをしてしまったと。私にはメルカッツ提督が居たから貴族連合はあそこまで戦えた、提督に全ての権限があれば失礼ではありますが閣下とて勝つのは容易では無かったと思うのですが……」
「そうだな、卿の言う通りだ、メルカッツに全権が有ればもっと苦労しただろう、……メルカッツも不運だな」

ラインハルトが感慨深げに頷いた。プライドは高いんだがこういう所は素直なんだよな、だから好きなんだ。もう少しこういう所を前面に出せばもっと魅力が出ると思うんだが……。
「今少し、御時間を頂きたいと思います」
俺の言葉にラインハルトが頷いた。

「うむ。幸い反乱軍の下に行ったのではないのだ。そう思えば大したことでは無い。卿に全て任せる」
「有難うございます」
なんか友好的だな、招待したって事で優越感が有るのかな。もしかすると上に居ないと安心できないタイプなのかもしれない、上司に恵まれなかったからな……。

少しの間ラインハルト、キルヒアイス、ヒルダと歓談した。フェルナー、シュトライトとリュッケは黙って話を聞いている。リュッケがこちらを興味深そうに見ているのが分かった。さてそろそろ始めるか、今日はこのために来たのだからな。

「ところで閣下、最近の帝国軍では副業を行うのが流行っているそうですね」
「何の事だ?」
ラインハルトがキョトンとしている、キルヒアイスも訝しげだ。そうだろうな、やはりこの二人は知らなかった。ヒルダの表情は厳しい、ある程度知っていた、いや感づいていたな。だが確証が無いから黙っていた、そんなところか。そして……、なるほど、そうか、そう言う事か……。

「帝国の利益ではなく、フェザーンの利益を図ろうとしている人間が居る、そう言っています」
「馬鹿な、何を言っている」
不愉快そうだな、ラインハルト。だが不愉快なのは俺の方なんだ。何だって俺がこんな事をしなければならんのか。周囲がざわめくのが聞こえた。

「ここ最近、フェザーンは酷く困っているようです。中継貿易の独占が出来なくなりこれまでのように利益が上がらなくなっている……。我々は利益よりも発展を重視していますからね。我々が運ぶ品物は価格が安いのです」
「……」

「我々が邪魔だ、そう思ったフェザーンは閣下の部下にヴァンフリート星系を接収せよ、黒姫一家が不満を述べるなら叩き潰せと言わせて周囲を煽らせているのですよ。我々は軍内部でも評判が悪いですし嫌っ
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