暁 〜小説投稿サイト〜
蒼き夢の果てに
第4章 聖痕
第40話 龍の娘
[2/9]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
て、ガリア。つまり、フランスでロレーヌ家と言えば、多分、ハプスブルグ=ロートリンゲン家と成る家系だと思うのですが、その家名を名乗る少女が、何故、こんな地球世界で言うトコロのルーマニアに現れるのですか?

 あ、いや。ハプスブルグ家なら、ワラキア公の主家筋に当たる、ハンガリー王の爵位を持っていたような記憶も有りますね。
 但し、これは地球世界の話なのですが。

【なぁ、タバサ。この少女は、ガリア王家の血を引いているのか?】

 先ずは、この質問からですか。そう思い、更に情報の秘匿を考えて、【念話】でタバサに問い掛ける俺。
 しかし……。

 何故か、俺の方を視線を逸らそうとせず、真っ直ぐに見つめるシモーヌと名乗った少女。
 ……う〜む。どうやらこれは、質問よりも先に、自己紹介を行うべきですか。立場的に言うと、この三人の中では俺が一番軽輩に当たる人間ですから。

「初めまして、ミス・ロレーヌ。私は、タバサの騎士従者を務めさせて頂いております、武神忍と申します。
 東方出身ですので、ファミリーネームが武神。ファーストネームが忍と言う表現と成って居りますので、御呼び頂く時は、シノブと御呼び下さい」

 そう告げた後、恭しく、片膝をついて中世の騎士風の礼を行う俺。もっとも、俺の本当の職業はタバサの使い魔なのですが、それをそのまま正直に話す訳にも行きませんから。
 ただ、この目の前の少女がタバサの正体を知って居た以上、俺の事も知って居る可能性は大きいと思うのですが。

「いえ。私の父の治めるマジャールの地も、本来は姓を先に、名前の方を後に表記します」

 そう、滑舌のはっきりとした、よく澄んだ声で告げるシモーヌ。その女性騎士と言うに相応しい立ち居振る舞いに、良く似合った声と言葉使い。
 男性の騎士と同じ言葉使いで有りながら、決してぞんざいな雰囲気ではない。たおやかで有りながら凛々しい彼女の声は、陰の気が濃い坑道内では、やけに心地の良いもので有った。
 そして、彼女の語ったマジャールの地とは、このワラキアの隣。つまり、ルーマニアの隣のハンガリーの事で有り、そして、地球世界のハンガリーも日本と同じで、姓を先に、名前を後に表記するはずです。

【マジャール侯爵の蒼銀の戦姫(ぎんのひめ)。わたしの遠い親戚に当たる少女】

 ここで、ようやくタバサが先ほどの質問に答えを返してくれる。成るほど。ならば、このロレーヌと言う家名を名乗った少女は、マジャール侯爵の姫君と言う事ですか。
 しかし、侯爵の娘が、何故に、表向き謀反人の娘のタバサに対して、主君に相対すべき仕草で対応するのでしょうか。
 もしかして、彼女も、花壇騎士に所属していて、前回のカジノ騒動の結果を知り得る立場の人間と言う事なのでは……。

 そう思考を纏めよう
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ