第4章 聖痕
第40話 龍の娘
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て、ガリア。つまり、フランスでロレーヌ家と言えば、多分、ハプスブルグ=ロートリンゲン家と成る家系だと思うのですが、その家名を名乗る少女が、何故、こんな地球世界で言うトコロのルーマニアに現れるのですか?
あ、いや。ハプスブルグ家なら、ワラキア公の主家筋に当たる、ハンガリー王の爵位を持っていたような記憶も有りますね。
但し、これは地球世界の話なのですが。
【なぁ、タバサ。この少女は、ガリア王家の血を引いているのか?】
先ずは、この質問からですか。そう思い、更に情報の秘匿を考えて、【念話】でタバサに問い掛ける俺。
しかし……。
何故か、俺の方を視線を逸らそうとせず、真っ直ぐに見つめるシモーヌと名乗った少女。
……う〜む。どうやらこれは、質問よりも先に、自己紹介を行うべきですか。立場的に言うと、この三人の中では俺が一番軽輩に当たる人間ですから。
「初めまして、ミス・ロレーヌ。私は、タバサの騎士従者を務めさせて頂いております、武神忍と申します。
東方出身ですので、ファミリーネームが武神。ファーストネームが忍と言う表現と成って居りますので、御呼び頂く時は、シノブと御呼び下さい」
そう告げた後、恭しく、片膝をついて中世の騎士風の礼を行う俺。もっとも、俺の本当の職業はタバサの使い魔なのですが、それをそのまま正直に話す訳にも行きませんから。
ただ、この目の前の少女がタバサの正体を知って居た以上、俺の事も知って居る可能性は大きいと思うのですが。
「いえ。私の父の治めるマジャールの地も、本来は姓を先に、名前の方を後に表記します」
そう、滑舌のはっきりとした、よく澄んだ声で告げるシモーヌ。その女性騎士と言うに相応しい立ち居振る舞いに、良く似合った声と言葉使い。
男性の騎士と同じ言葉使いで有りながら、決してぞんざいな雰囲気ではない。たおやかで有りながら凛々しい彼女の声は、陰の気が濃い坑道内では、やけに心地の良いもので有った。
そして、彼女の語ったマジャールの地とは、このワラキアの隣。つまり、ルーマニアの隣のハンガリーの事で有り、そして、地球世界のハンガリーも日本と同じで、姓を先に、名前を後に表記するはずです。
【マジャール侯爵の蒼銀の戦姫。わたしの遠い親戚に当たる少女】
ここで、ようやくタバサが先ほどの質問に答えを返してくれる。成るほど。ならば、このロレーヌと言う家名を名乗った少女は、マジャール侯爵の姫君と言う事ですか。
しかし、侯爵の娘が、何故に、表向き謀反人の娘のタバサに対して、主君に相対すべき仕草で対応するのでしょうか。
もしかして、彼女も、花壇騎士に所属していて、前回のカジノ騒動の結果を知り得る立場の人間と言う事なのでは……。
そう思考を纏めよう
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