第4章 聖痕
第40話 龍の娘
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ベレイトの街のやや南よりに存在している、岩塩採掘用の坑道の入り口。この辺りは、ベレイトでもやや下層の人々が住む辺りと成るので、先ほどまで食事を取っていた街の北側と比べるとかなりゴミゴミとした雰囲気で、更に、少しの危険な雰囲気を漂わせている地域と成っています。
その街の中心からは少し外れた位置に有る、タバサがイザベラ姫に捜査を命じられた採掘場の入り口。そのすぐ傍には、優美な反りを持つ一振りの長剣を腰に装備した若い女性。そして、彼女の傍らに立つ一人の老女の姿が有った。
若い女性の方は、その身に付けた闇色のマントから推測すると、間違いなく魔法使い。そして、老女の方は、身に付けた衣装や、その生活に疲れたような雰囲気から察するに平民だと思われる。
迷う事もなくゆっくりとその二人に近付いて行くタバサに従って、俺もその二人に近付いて行く。そして、彼我の距離が近付くに従って彼女らの話声が聞こえて来るように成った。うむ、成るほど。どうやら、老女の方は何かをその女性騎士に訴えかけ、その女性の方も老女の訴えを真摯に聞いていると言う雰囲気ですね。
そうして、
「判りました、ドミニクさん。貴女のお孫さんは、間違いなく私達が見付け出して参りましょう」
……と、彼女らとの距離が歩数に換算して十歩足らずの距離まで近づいた瞬間、若い女性騎士と思しき雰囲気の女性が、老女に対してそう告げた。
但し、何故か、俺とタバサの方を、見つめた後に。
そして、その瞬間、何故か、非常にいやな予感がしたのですが……。
☆★☆★☆
「先ほどは失礼致しました」
硬い石で補強された坑道入り口より、地下に向かう石造りの階段を下りた先に広がるホールの様な場所に辿り着いた後、先ほど、シモーヌ・アリア・ロレーヌと名乗った女性……いや、少女と言うべきですか。その少女が、そう謝罪の言葉を口にした後にタバサの目の前に片膝を付き、蒼き姫の差し出した右手に軽く口付けを行う。
そう。この所作は所謂、騎士として最上位の礼をタバサに対して示したと言う事です。
白いブラウスに、濃紺の短いスカート。そして、貴族の印のタイピンに止められた黒いマント。何処から、どう見ても魔法学院の学生にしか見えない服装。
更に、本来は長い蒼銀の髪の毛を後頭部でシニオンの形で結い上げ、その蒼い瞳からは、強い意志の光を感じる、凛とした雰囲気の美少女。ちなみに顔の造作に関して言うなら、何処となくタバサに似た雰囲気が有ります。
……って言うか、蒼い髪の毛に、更に蒼い瞳。そし
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