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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (2)
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接をすると思ったらしい。

キナ臭い空気を感じた紺野さんは、開発チームの面々に『MOGMOGに関する情報の徹底的な封印』を指示した。元々山奥に隔離されていたので、封印は簡単だった。連日の徹夜作業で、プログラミング以外のことは一切面倒になっていた彼らは最初しぶっていたが、この奇妙な採用活動のことを聞かせると、暫く考え込むような顔をして、やがて作業を中断した。

開発チームに本部への帰還指示が出たのは、この話を聞いた2週間後だった。
「長いこと、ご苦労でしたね。MOGMOGが発売になれば、情報を隠す必要は、なくなりますから。…本部に帰還したら、少しゆっくりしてください」
電話越しの伊佐木課長の声はとても平坦で、ひたすら上機嫌だった。紺野さんは受話器を耳に当てたまま、目をさまよわせた。そして一呼吸おくと、普段より1オクターブ高い声を出した。
「なるほど…しかし申し訳ない。今動くわけにはいけないんです」
「おや、何故。そろそろ都会の空気が恋しいころなんじゃないですか」
「そうしたいのは山々なんですが…完成にはしばらく時間がかかりそうでして」
「それなら、なおさら人手が必要でしょう。こちらでやればいい。最近プログラマーを増員してね、ぜひ当社きっての名SEの君に鍛えてもらいたい、と、思っているんですよ」
聞こえないように舌打ちをして、紺野さんはしばらく黙り込んだ。
「ね、そうでしょう。私は、散々無理をしてもらった君達に、ゆっくり休んでもらいたい、と思っているんですよ。どうですか、六本木あたりで一杯」
たたみかける様に懐柔にかかる伊佐木課長の耳障りな声を聞き流しながら、紺野さんは再び目を泳がせた。憔悴しきった開発チームのメンバー、古河と目が合った。

――扱いづらい奴らかもしれない。俺も含めて。
周りの和を乱したことも数知れない。俺達を本気で憎んでいる奴もいるだろう。
しかし「こんなこと」をされるほどの非は、俺達にはない!

受話器のむこうでなおも続く、耳障りな猫なで声を打ち切るために、紺野さんは口を開いた。
「有難いお話です。…が、色々事情があって、終わらないと動けないんですよ」
「はぁ…それは何で。引越しなら、営業部が総出で、お手伝いしますよ」
「何で…東京に帰したがるんですか」
つい、イラつきが言葉に出てしまった。電話の向こうが、ふっと静まり返った。
「…や、すんません。とにかく、作業がこれ以上延びると、それだけメンバーに負担がかかるんでね。人手が余ってるなら、こっちに回してもらえると助かります」
再び声のトーンを上げて、これ以上話が長引くまえに受話器を置いた。視線を上げると、皆、作業の手を止めて電話に聞き入っていた。彼らの視線がじりじりと集中する。紺野さんは皆に向き直ると、ただ1回だけ頷いた。


「…なんか
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