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くらいくらい電子の森に・・・
第七章 (2)
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で煮え湯を飲まされた競合他社が、マスコミや世論を動員して徹底的に叩きにくる。そうなったら、俺達のMOGMOGは会社ごとひねり潰されるんだよ。そしてお前が言ったとおり、俺達を雇う人間は出ない。開発チームは散り散りになり、MOGMOGは奴らに嬲り殺しにされるんだ。……あ、むきになってすまんな。えーと、どこまで話したっけな…」
「えと、生贄のところまで…かな」
すっかり毒気を抜かれたような顔で、柚木がつぶやいた。僕はといえば、突然紺野さんに睨まれたことで思考停止しきっていたので、内心だらだら冷や汗をかきながら、がくがく首を縦に振るのがせいいっぱいだった。
「おぉ、そうだそうだ。…俺が想像した最悪のシナリオは、こうだ」

ある日突然開かれる記者会見。記者会見の主題は、『開発チームの不正』。フラッシュライトの中、全ての罪を一身に背負ったかのような顔で一斉に頭を下げる経営陣。『私どもの監督不行き届きにより、一部開発チームの不正を許してしまいました。…被害を受けた方々には誠心誠意対応させていただきます。弊社HPより配信している修正プログラムを、ぜひともご利用下さい』
ざっ…と一斉にポマード臭い頭をさらす経営陣。社内の査察で発覚し、自ら謝罪というスタイルをとったことは、むしろ好意をもって迎えられる。そして『プログラム』という、一般人からすれば全くのブラックボックスでしかない分野であったがために開発チームに欺かれた、という建前は、却って世論の同情をさそうことだろう。世論の憎しみは、手抜き施工を行なった開発チームに集中する。そしてMOGMOG開発チームは、永久にこの世界から追放される。

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