第36話
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「それともう一つ、俺はヒーローでも何でもない。
俺はただの通りすがりの一般人Aだ。」
麻生はそう言って魔術師に背を向けて歩き出す。
魔術師は麻生を背後から襲う気はなかった。
襲っても勝てる相手ではないし、何より魔術師は麻生に負けたのだと思ってしまったからだ。
だからこそ、魔術師は麻生に言った。
「きっと攻撃は今回限りではありません。
自分みたいな下っ端が一回失敗した所で「上」が退くとは思えない。
むしろ、余計に危険視する可能性すらあります。
あなたや御坂さんの元には自分以外の者が向かうと思いますし、最悪、自分にもう一度命令が下るかもしれません。」
「だからどうした。
そいつらが俺に喧嘩を売るのならいつでも買ってやるし、俺の守る者に手を出したらその時はその組織を完膚なきまでに潰すだけだ。」
「その守る者に御坂さんは入っているのですか?」
魔術師は問いかけたが麻生は答えなかった。
魔術師はそうですか、と呟いて言った。
「守ってもらえますか、彼女を。
いつでも、どこでも、誰からも、何度でも。
このような事になるたびに、まるで都合の良いヒーローのように駆けつけて彼女を守ってくれると、約束してくれますか?」
それが彼が願いつつも決して叶えられない望み。
魔術師の望みを聞いた麻生は振り返らなかったがその言葉を聞いて立ちどまった。
「俺はヒーローじゃないからそんな約束はできない。」
ただ、と麻生は続ける。
「あいつが、美琴が俺の力を必要として俺の助けが必要になった時は俺は全力であいつを救う。」
これは麻生が心に誓った事。
美琴だけじゃなく麻生の力を必要とするのなら誰であろうと助けると彼は心に誓った。
その言葉を聞いた魔術師は苦笑いを浮かべて最悪な答えだと呟いた。
工事現場から出た麻生は土御門に連絡してあの魔術師を対処を任せようとして携帯を開けた時今の時刻を見て麻生の表情は凍りついた。
午後一時ジャスト。
愛穂との約束の時刻は十二時。
携帯には何度か愛穂からの着信がきていたが、さっきまでどたばたしていたので気づく訳がない。
麻生は愛穂が怒っているだろうな〜、とため息を吐きながらそれでも最初に土御門に連絡する。
その土御門に事情を説明している間に麻生はどうやって怒りを鎮めるか必死に考えていた。
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