第35話
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られてしまう麻生はそろそろ向かおうと思った時だった。
「んじゃ、恋人ごっこは終わりにしますか。
お駄賃として最後に何か奢ってあげるわよ。」
「いや、それはもういいから俺はこれで・・・・」
「どうせアンタの事だから何でもいい、って言うだろうし注文は適当に決めてくるわよ。」
「おい、俺の話を・・・・行っちまいやがった。」
麻生は視線だけ美琴が走っていった所を追うと大勢で溢れているファーストフード店に入っていた。
麻生はファーストフードのような栄養バランスが悪い食べ物は好きではないのだが、それを伝えようとしたがあの大勢で溢れている所を行く気にはならない。
麻生はこのまま放って行こうかと思ったが、そうすると今度会った時に色々面倒な事になりそうなので離れる事が出来ない。
愛穂に連絡しようとした時、後ろから声をかけられる。
「あれ、こちらに来ていたんですか。
お一人ですか?用というのは、もうお済みですか?」
「ああ、美琴と話をしたかったのなら一足遅かったな。
アイツはあそこの店で格闘中だ。
話をするなら今が一番いいと思うぞ。」
「大丈夫でしょうか?先ほど随分怒っていたようでしたけど。」
そこで二人の間に沈黙が流れる。
麻生はさっき美琴が言っていた言葉を思い出す。
(勉強が出来ないね・・・・)
自分がさっき海原は実は頭がいいのでは?、と言ったが今思い返してみるとそれはあまりにも不自然だった。
どうしてわざわざテスト中に能力を使うのか、ばれればいくら理事長の孫とはいえ色々面倒事が起こる筈だ。
普通に頭が良ければテストを普通にこなして能力を確かめるのは別の機械でも問題はない筈だ。
それなのに危険を冒してまでテスト中に能力を使ったのか。
麻生は海原にどうやって聞こうと考えた時、ふと美琴が入っていったファーストフード店を見る。
その大勢の中にもう一人の海原光貴がいた。
顔立ちも背格好も服装まで何もかも「海原」と同じだった。
麻生は眼を千里眼に変えてもう一人の海原を注意深く観察してふっと小さく笑った。
その麻生の笑みに気づいた海原は聞いてくる。
「何を見て笑っているのですか?」
さわやかな笑顔を浮かべて聞いてくる。
麻生は依然とファーストフードに視線を向けて海原の質問に答える。
「いやな、俺が見ているファーストフード店にお前に凄く似ている人を見かけてな。」
「は、はぁ、そうなんですか。
きっと他人の空似では?」
海原は店と麻生の顔を交互に眺めている。
「お前は信じるかどうかは知らないが俺の能力を使えば自分の眼を千里眼のような眼に変える事が出来る。
その眼でそのもう一人の「海原」を観察したら服装も背格好も顔立ちも全く同じだったんだ。
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