四十三 影と陰
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るのを眼の端に捉えてから、改めてダンゾウに視線を戻す。
背後に何の後ろ盾もないナルト。反面、『根』を周囲に配置し、傍に部下二人を控えさせ、更には岩壁を背にするダンゾウ。用心に用心を重ねる彼の慎重な態度に思わず苦笑が漏れる。
「…何がおかしい?」
目敏くダンゾウが咎める。油断なくこちらを見つめてくる複数の視線にナルトは微笑んでみせた。
「優秀な部下が多いようで」
ナルトの賛辞にダンゾウは苛立たしげに鼻を鳴らした。白々しい、と吐き捨てる。
ナルトの動向を監視するよう部下達に命じてはいたものの、そのどれもが失敗に終わった。見張られていると知っていながら今回わざとその身を自分の前に晒した、眼前の少年が腹立たしい。
「戯言はいい。本題に入るぞ」
催促する、カツンという音。杖で地を強く叩いたダンゾウをナルトは真っ向から見据えた。
「ワシに何を望む?小童」
『忍の闇』と評される男の黒い片目がナルトの瞳を覗き込む。美しい青い瞳が一瞬、彼以上の深い闇を抱えているかのように昏く澱んだ。
「俺の望みは―――」
強烈な風が両者の間を吹き抜ける。耳元で喚き散らす風の中で、凛とした声がやけに大きく響いた。
「うちはイタチの汚名返上だ」
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