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やってみるか…………生き残れたらの話しだが。
死に戻りで黒鉄宮に戻された。結構な人数が死に戻りしているようだが、みんな笑顔だ。
楽しんでんなー。
黒鉄宮から出て、暫く進むと噴水のある広場に出た。
これが空き瓶に入れて持ち歩ける飲料水の一つか。
噴水の前には何とか空き瓶に水を入れようと試行錯誤しているプレイヤーが数人居た。
空き瓶に水を入れようとしてるが、数秒もしない内に空き瓶が消滅していた。
また一人失敗した、その度にポーションを飲み干して、瓶を空にして噴水の水を入れようとする。
隣では何とかして水を汲めないかと大きな樽まで持ち出している。
そんな微笑ましい光景を俺の他にも観察している存在に気付いた。
少し離れた花壇の横に座る――――白髪でしわしわの爺さんだ。
NPCにしては目に知性を感じる…………スタッフか?
プレイヤーが知恵を出し合って、空き瓶に水を汲む瞬間を見届けようと言う魂胆か?
俺はその悪趣味な爺さんの隣に腰掛けた。
「あの人達はさっきから何をしてるんですか?」
「…………水を汲みたいらしい」
――――こいつ、茅場だ。
声、声だけはどうしようもなく隠せて無いぞ!?
あの年齢詐欺のプレイヤーがディアベルの声で、ネカマプレイヤーの声がシリカだったけど。
この人、声はそのままでログインしてるぞ!?
「…………教えてあげないんですか?」
「私もそれが出来るか知りたくてね」
――――嘘付けッ!
「メニューのヘルプにヒントぐらいは書かれて無いんですか?」
そう言いながらメニューを開きヘルプを確認する…………何々?
【広場の噴水はとある方法で持ち運び可能です。色々試して下さい】
それだけで後はノーヒントだった。
「これってNPCとか何かクエストを発注しないと出来ないんじゃ?」
「…………君も試してみたらどうかね?」
ほほう、あくまでも知らぬ存ぜぬを通しますか――――見てろよ。
俺は開始時にメニューの中に常備されている、初心者用ポーションを取り出して飲み干した。
これで空き瓶の完成だ、そしてある細工を此処で加える。
横でそれを見ていた爺さんが目を見開く――――そうだよな、これが正解だもんな。
そして数秒で消滅する事がなくなった空き瓶を片手に噴水へ向かう。
俺が近付くと水を汲もうと頑張ってるプレイヤー達が『お前も挑戦するのか』と仲間意識の眼差しを向けてくる。
だが、暫くしても崩壊せずに俺の手の中に存在し続けるポーションの空き瓶に、全員が違和感と共に気付き始めた。
ニコニコと微笑みながら空き瓶に水を汲んで、爺さんの隣に戻る。
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