少女と家族
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「やあ、ユイちゃん。……ユイって、呼んでいい?」
カップから顔を上げて頷く
「そうか。じゃあ、ユイも俺のこと、キリトって呼んでくれ」
「き……と」
「キリト、だよ。き、り、と」
「……」
「……きいと」
生糸……
「ちょっと難しかったかな。何でも、言いやすい呼び方でいいよ」
再びユイは考え始めた。やがてユイは顔をゆっくりあげると
「……パパ」
次いでアスナを見上げて、言う
「あうなは……ママ」
アスナは微笑みとともに頷く
「ママ!」
アスナはユイを抱いたまま涙をながし始めた。俺は微笑みながらそれを見ていたが次のユイの言葉で凍り付くことになった
「りうは……にい!」
…何ですと。にいって兄さんのことだよね?すると何かい?俺はアスナとキリトの……は?同年代の親なんかまっぴらごめんだ。……いや、現実世界の両親よりはずっとマシだな……だあ!何考えてるんだ俺は!?……
ちなみに5分くらい固まっていると、ユイの止めの一撃が
「ダメ……なの……?」
……想像して欲しい。純粋な十歳児それも美少女の部類に入る少女の涙目プラス上目遣い。……あなたは断れますか?
「いいよ。ユイ」
無理でしょう
ホットミルクを飲み、小さな丸パンを食べると、ユイは再び眠り始めた
「わたし……わたし……」
「ごめんね、わたし、どうしていいのか判んないよ」
「……この子が記憶を取り戻すまで、ずっとここで面倒みたいに思ってるんだろ?気持ちは……解るよ。俺もそうしたい。でもな……ジレンマだよな……。そうしたら当分攻略には戻れないし、そのぶんこの子が解放されるのも遅れる……」
「うん……それは、そうだね……」
「とりあえず、できることはしよう」
……無駄だな。もう俺はユイの正体について確信している
「まず、はじまりの街にこの子の親とか兄弟とかがいないか探しにいくんだ。これだけ目立つプレイヤーなら、少なくとも知ってる人間がいると思うし……」
「……」
「……?どうしたの?」
「な、なんでもないよ!!」
「どうせ、ユイと別れたくないとか思ってるんだろ?自分とキリトの子供のように思ってるんだろ。もう既に」
アスナは吹き出した
「……そうだけど……」
耳まで赤くなって言った
「そういえばリンはユイの兄貴だったよな?ってことは……」
こんどは俺が吹き出す番だった
「同年代の親なんか認めない!現実世界の両親よりはずっとマシだけど……」
ゴニョゴニョ言う俺は不意にアスナに引き寄せられ抱きしめられ
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