第百四十八話 サイレント=ボイス
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じゃ」
にこりと笑って述べる。
「駄目か」
「いえ、でしたら」
「そなたもくつろぐのじゃ。よいな」
「はい」
こうしてミネバはハマーンと別れてジュドー達のところに入る。ハマーンはそれを複雑な顔で見送っていた。
「妬ける?」
そこにミサトがやってきた。
「貴女は」
「葛城ミサト。知ってるわよね」
「ネルフだったな」
「今はロンド=ベルにいるけれどね。そうよ」
そうハマーンに答える。
「今まであの娘とずっと一緒だったのよね」
「そうだ」
ハマーンはそう答える。
「わかるわ。あんたってあの娘をずっと見てたから」
「ザビ家でなくなってもミネバ様は私にとってはかけがえのない方だ」
「そうなの」
「だからな。つい」
「まあここにいたら大丈夫だから」
笑ってそうハマーンに返す。
「安心しなさいって」
「ならいいがな」
「そうよ。ところで」
ここでミサトは表情を明るくさせてきた。
「何だ?」
「お酒はいける?」
「酒か」
ハマーンはその言葉に顔を向けてきた。
「ワインならな」
「そう。じゃあ付き合ってよ」
それを聞いて今度はにこやかな笑みになってきた。
「皆で飲む筈なのにリツコが急に出られなくなっちゃって」
「何かあったのか?」
「サコン君と打ち合わせなのよ。大文字博士ともね」
「そうなのか」
「だから」
またハマーンに声をかける。
「付き合ってよ。いいでしょ」
「わかった。ではこちらで用意しておく」
「用意って?」
ミサトはその言葉に顔を向けてきた。
「何するの?」
「ワインを用意するのだが」
彼女はそうミサトに返した。
「それが何か」
「何かって」
ミサトは面食らった様子で彼女に返す。
「お酒ならもうあるわよ」
「そうなのか」
「そう、ビールがね」
ミサトはそう述べる。
「ワインもあるわよ」
「そうか。実はだ」
ハマーンは言う。
「年代ものを数本出そうかと思っていたのだが」
「あら、そうなの」
ミサトはその言葉を聞いてまた顔を明るくさせた。
「そうだったのだが。いいのか?」
「ええ、凄くいいわよ」
そう彼女に返す。
「じゃあ持って来て。それで皆で」
「わかった」
ハマーンはその言葉に頷く。彼女もまた本来の場所に入ろうとしていた。一人ではいられないということに彼女も気付いたからだ。
第百四十八話完
2007・3・3
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