第百四十六話 キモノオモイデニサヨナラ
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私は大尉とは」
ルーの言葉にも易々と引っ掛かる。戦いのこと以外ではかなり迂闊であった。
「別に何もないので。言うならば」
「あの、少佐」
横でキースが困った顔をして立っていた。ナタルはその言葉でやっと我に帰る。
「た、大尉」
「自分で言ったら駄目じゃないですか」
「あっ・・・・・・し、しまった」
ようやく自分でも気付き顔がさらに赤くなる。
「私は・・・・・・その」
「いやあ、いい話聞いたよ」
ジュドーはあらためて笑っていた。
「ナタルさんのおのろけなんて」
「お、大人をからかうな」
そう抗議してももう遅かった。
「私はだな、本当に大尉とは」
「だから言ったら駄目ですよ」
キースは横で呆れ顔であった。
「言う側から全く」
「うう・・・・・・」
「しかしよ」
ここでキラがスティングに言ってきた。
「ナタルさんってあれだろ?もう二十五だよな」
「ああ、そうだったな」
スティングはその言葉に頷く。
「確かな」
「何だ、それだったら立派なおばさんじゃないか」
言ってはならないことを言った。
「そろそろ結婚する年頃でよお。キスもまだなんてな」
「そんなもんか?」
「そのまま売れ残りになっちまうところじゃねえか。ラッキーな話だぜ」
「おい、シン」
アウルが彼に真剣に忠告してきた。
「御前その発言は」
「何だよ、本当のことじゃねえか」
しかし彼はまだ言う。
「二十五のおばさんが純情なんてな。こりゃお笑いだぜ」
「そうか」
スティングは真顔になってきていた。
「それでいいんだな、御前は」
「いいって何がだよ」
「シン、後ろ」
ステラが言ってきた。
「後ろ振り向いて」
「何だって・・・・・・・うわああああああっ!」
「さて、シン=アスカ」
後ろを振り向くとそこにはナタルがいた。真っ黒なオーラを全身から放って立っている。指をボキボキと鳴らしながら。
「言い残すことはあるか?」
「あああ・・・・・・」
「遺言は御家族に伝えておく。さあ何だ?」
「わ、わかった」
彼は観念して言った。
「それならせめて」
「せめて。何だ?」
「七色仮面を見て死にたかった」
「わかった。では伝えておこう」
「糞っ、何で皆言わなかったんだよ」
「御前が言ったんじゃねえか」
「自業自得だ」
スティングとアウルが彼に声をかける。こうしてシンはナタルの死の制裁を浴び暫くは戦闘不能となったのであった。医務室にボロ布になった彼が運び込まれた。
その横ではキラがいた。彼も唸っている。
「何ですか、これ」
彼は苦しみながら横に担ぎ込まれてきた残骸を見て言う。
「急に出て来ましたけれど」
「ああ、これシン君なのよ」
リツコが彼に述べる。
「ナタルさんにぼこられてね。それで」
「そうだったん
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