第百四十四話 グレミーの胎動
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でますので」
「そ、そうか」
言われてそれに頷く。
「それでは。総員解散」
あたふたとその場を後にする。相変わらず顔は真っ赤だ。どれからナタルが何かとからかわれるようになったのは言うまでもない。
ハマーンがアクシズに帰還しなかったということはアクシズに残っているグレミーの耳にも届いていた。彼はラカンやオウギュスト、アリアス達がいた。彼等は密室で話をしていた。
「何故戻らないのだと思う?」
グレミーは彼等に問うてきた。
「あの女が」
「炙り出しているのでしょうな」
ラカンが落ち着いた声で述べてきた。
「異分子を」
「つまり我々をか」
「はい」
ラカンはグレミーに対して答える。
「その通りかと」
「ふむ。だとすればだ」
グレミーはそれを聞いて顎に手を当てて思案に入った。
「今は動かない方がいいか」
「そうですな」
オウギュストはその言葉に頷いてきた。
「今のところは。慎重にいかなければ」
「わかった」
グレミーは彼の言葉を受けて応えてきた。
「では今は動かない。いいな」
「了解です」
「それでは」
「それでグレミー様」
今度はアリアスが述べてきた。
「デラーズ少将はどうでしょうか」
「駄目だな、彼は」
グレミーはアリアスにそう返した。
「話を聞く気もないようだな」
「左様ですか」
「あの女には反発していてもだ。やはりザビ家を裏切るつもりはないようだ」
「ザビ家を」
「私はザビ家の人間ではないらしい」
口元に笑みを浮かべてそう述べてきた。
「私はギレン=ザビの子なのにな」
「デラーズ閣下はギレン総帥の信奉者だったのでは?」
アリアスがそれに問う。
「それがどうして」
「確固たるものがないというのだ。あの男も同じだ」
「アナベル=ガトー」
「シーマ=ガラハウは納得してくれたがな。彼はな」
「左様ですか」
ラカン達はそれに応える。
「彼の部下のかなりの数はこちらにつきそうだが」
「それでもあの二人は」
「どうしようもなかった。それにだ」
グレミーはさらに言う。
「ロンド=ベルもいる」
「ロンド=ベルも」
「草壁中将とのホットラインは常にある」
そう部下達に述べる。
「彼とも連絡を取り合い。頃合いを見て」
「決起ですな」
「そうだ、それでいいな」
グレミーはそう語る。
「ロンド=ベルの介入を避けて決起する。ぞれでいいな」
「はい」
「それでは」
彼等は話を終えると何処かへと立ち去った。何かが胎動しようとしていた。それはネオ=ジオンにとっては破滅の引き金となるものであった。
第百四十四話完
2007・2・19
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