第百四十四話 グレミーの胎動
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第百四十四話 グレミーの胎動
「そうか、やはりな」
ジャミトフはバスクから戦いの顛末を聞いていた。聞き終えてからこう呟いた。
「やはりそれが限界か」
「それなりにできる男ではありましたが」
「いささか器が小さかった」
ジャミトフはバスクにそう返す。冷徹な目であった。
「そうだな」
「はい、その通りです」
バスクもそう答える。
「あの程度だったということでしょう」
「そうだ。プラントはこれで動けなくなった」
「それでよしとしますか」
「戦力を回復させるのにはどれ位かかるか」
バスクに問う。
「あの戦いのダメージの回復は」
「今暫くです」
「暫くか」
「はい。かなりのダメージを受けたのは事実ですが」
「ブルーコスモスの系列の者達はほぼ全滅したようだな」
それはジャミトフも聞いていた。聞いたうえで述べる。
「はい」
「仕方ないな。失ったものは帰らない」
やはり冷徹であった。そのままで言葉を続ける。
「それは割り切っていくしかない」
「こうした時に木星を手に入れておいてよかったですな」
「そうだな。資源には困らない」
「後は人ですが」
「そちらも集まっているか」
「はい、何とか」
彼等とて人材の募集は行っている。ティターンズに賛同する者達も地球を中心として多いのである。
「集まっております」
「それは何よりだ。それでは」
ジャミトフはさらに述べる。
「まずは守りを固めていく」
それが今のティターンズの方針だった。
「ロンド=ベル、連邦軍が我等に来るかネオ=ジオンに向かうか」
「それですが閣下」
バスクがここで言ってきた。
「どうやらネオ=ジオンで新たな動きがあるようです」
「ふむ」
ジャミトフはその言葉に目を光らせてきた。
「妙な動きか」
「はい、具体的に申し上げますと内部分裂です」
バスクは述べる。
「ハマーン=カーンと彼女に逆らう一派が」
「対立を深めているか」
「これまではあくまで水面下だったのですが」
「それが違ってきているというのだな」
「そうです」
バスクはまた述べる。
「それが今になって表面化してきました」
「ではロンド=ベルはそこに付け込むかな」
ジャミトフはそう推察してきた。
「どうかな、そこは」
「そこまではわかりませんがそうなれば我々にとっては好都合かと」
「その間に戦力を回復できるな」
「そうです。そして」
バスクはニヤリと笑ってきた。
「回復させた力で今度こそ」
「今度こそはな」
ジャミトフも言う。
「人類の覇権を握るぞ」
「わかりました」
彼等の話は終わった。その野望はまだ健在であった。ティターンズはその牙も爪もまだ供えていたのであった。
ロンド=ベルは月で大規模な整備と補給を受け
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