第百四十一話 ザルク
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第百四十一話 ザルク
イザークはスピットブレイクの後本国に戻っていた。そこで鬱屈した気持ちを抱いていた。
「イザークさん」
そんな彼にシホが声をかける。
「やっぱり寂しいですか?」
「否定はしない」
自分でもそれは認める。
「皆いなくなったからな」
「そうですね」
シホも寂しい顔でそれに頷く。
「アスランさんもディアッカさんも」
「戦死に行方不明か」
苦い顔で呟く。
「どいつもこいつも。いい奴ばかりがな」
「はい。ニコルさんのお母様ですけれど」
「ずっと家から出て来られないそうだな」
「泣いてばかりだそうです。たった一人の御子息だったらしくて」
「いい奴だった」
イザークは苦い顔になっていた。
「あんないい奴はいなかった。それなのにな」
「皆戦いで」
「そんなものかも知れないな」
窓の向こうの銀河を見て言う。
「戦いは。皆死んでいく」
「けれどそれでも」
「わかっている。俺達は戦わなくちゃいけないんだ」
窓にシホの姿が映っている。同時に傷のある自分の顔も。それは怒りで歪んでいた。
「明日出撃だ」
彼は言った。
「クルーゼ隊長の指揮の下だ。ロンド=ベルがこちらに来ているらしい」
「ロンド=ベルが」
「そしてティターンズもな。いよいよ奴等との最後の戦いなのかもな」
「最後の」
「シホ」
イザークは言った。
「死ぬな。いいな」
「わかりました」
きっと顔をあげてそれに頷く。彼等はアスラン達の行方を知らなかった。今彼等はエターナルでこれからのことについて話をしていた。
「しかし生きておられたなんて」
ニコルが驚きの顔でバルトフェルドを見ていた。
「流石に思いませんでした」
「ははは、残念だがこんな身体になってしまったけれどね」
バルトフェルドは笑ってニコルに返す。
「アイシャも無事さ。彼女は何処もなくなってはいないよ」
「すいません」
彼にキラが謝る。
「あの時は」
「何、いいさ」
バルトフェルドは笑って彼を許してきた。
「戦いだからね。むしろ命があっただけでもましだよ」
「アンディが私を庇ってくれたのよ」
アイシャはそう言ってきた。
「それで片目片腕片足になっちゃったのよ」
「そうだったんですか」
「おかげで復帰には時間がかかったがね。まあいい骨休めにはなったさ」
「バルトフェルド艦長は私達に協力して下さることになったのです」
ラクスが言う。
「プラント、そして人類を救う為に」
「しかしなあ」
シンがここで複雑な顔をして言ってきた。
「どうしてあの変態仮面がプラントにいるんだ?」
「どういうこと?それ」
「いやな。あからさまに怪しいだろ」
彼はルナマリアにも言う。
「あんな訳のわからない仮面被ってよ」
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