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Fate/magic girl−錬鉄の弓兵と魔法少女−
無印編
第二十五話 困惑
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「な、なんだこの怪我は! エイミィ、すぐに救護室に連絡。
 士郎が負傷した!」
「えっ! わかった。すぐに連絡する」

 いや、そこまでしなくてもいいんだが

「クロノ、俺の腕よりリンディ提督の」
「ダメっ!」
「そうだよ。すぐに治療しなきゃ」
「艦長には僕から伝えておくから治療が先だ」

 クロノを先頭に、なのはに引き摺られるように救護室に連れて行かれる。
 吸血鬼の身体ならそれほど時間もかからずに完治出来るのだが、吸血鬼という事を言うわけにもいかないのでなすがままになる。

「傷はそれほど深くはないみたいだが、表面はボロボロだな。
 しばらくは動かさない方がいいね」

 救護室の男性にそう言われ、包帯を巻かれる。

「それにしても一体どこでそんな傷を?
 モニターで見てたがいつ傷を受けたか思い当たらないんだが」

 クロノが包帯を巻かれる俺を見てそんな事を言うが、なのはとユーノも頷いている。
 これはさっきまでの方がまだひどかったとは言わない方がいいな。

 なのは達が俺を治療室に連れて行った原因は俺の右腕にある。
 俺の右腕の二の腕辺りから下がまるで火傷を負ったかのようにボロボロになっているのだ。
 プライフェンを持っているときは気がつかれなかったが、霧散させるときになのはに右手を見られたのだ。

 この原因は単純にプライウェンの真名開放にある。
 聖マリアが描かれた聖楯。
 持つだけで死徒であるこの身にはダメージを負うのだ。
 では真名開放すればどうなるか?
 真名開放により放たれた聖楯の加護の力。
 当然それが死徒である俺を受け入れるはずもない。
 結果として護りの力は俺の腕を焼いたというわけだ。

 だがこれを正直に説明するとなると当然のことだが俺が吸血鬼という話もかかわってくる。

「この怪我は自分でやったものだ」
「自分で?」

 俺の言葉にクロノが眉をひそめる。
 まあ、こんな言い方をすれば意味がわからないだろう。

「俺が空を飛ぶ道具として使用した盾だが、アレに欠点がある」
「欠点?」
「ああ、能力としては他者を守る時に本来の力を発揮する盾なのだが、所有者を完全には守ることができないんだ」

 目を見開くなのは達。
 まあ、無理もない。
 この説明を聞けば誰でも盾として致命的である事はわかる。
 盾とは本来所有者を守るもの。
 それが他者を守る時に本来の力を発揮し、その際に所有者を守りきる事は出来ない。
 紛れもない欠陥品である。

「なんでそんなものを」
「空を飛ぶ事を優先したためだ。
 本来なら使う気はなかった」

 首をすくめてみせる。

「はあ、事情は分かった。だが少なくとも二度と使わないでくれ。

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